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【pickupニュース】20年4月の都心5区大規模ビル空室率、小幅上昇も膠着状態か

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三幸エステートが最新のオフィスマーケットデータを公開
三幸エステート株式会社は19日、「オフィスマーケットレポート」2020年5月号を発行し、東京都心5区のほか、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡といった主要都市のオフィスビルにおける市場動向をまとめた資料の公開を開始しました。データは2020年4月分のものとなります。

・調査定義
東京都心5区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大規模ビル:1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル
現空面積:現在テナント未入居で契約後すぐに入居可能な物件面積の合計
募集面積:各統計日時点で公開されているテナント募集面積の合計

なおこの調査は、1991年1月1日に統計開始となったもので、用語など調査の基礎となる定義は上記のようになっています。

・主要経済指標
【実質GDP成長率】
2019年度:-0.1%
2020年度:-4.1%
2021年度:2.3%

【失業率】
2019年度:2.4%
2020年度:3.5%
2021年度:3.5%

株式会社ニッセイ基礎研究所によると、5月18日に内閣府が公表する実質GDP成長率は、2020年1~3月期のデータで、年率-3.6%となり、2四半期連続のマイナスが見込まれています。2019年度全体でも、-0.1%予測となり、新型コロナウイルス感染症の影響から生じた、国内民間需要の大幅な落ち込みが響きました。

続く4~6月期では、さらに緊急事態宣言発令に伴う休業要請の影響が加わり、深刻な経済打撃、市場停滞が表面化する見通しであるため、成長率は年率-30%台という記録的な低さになるとみられています。影響の長期化は避けられず、2020年度の予測値は-4.1%とされました。2021年度には2.3%へと回復する予想ですが、先行き不透明感は否めません。

オフィスニーズにも直結する失業率は、3月の総務省調査による完全失業率が、前月比で0.1ポイント悪化し、2.5%となりました。厚生労働省の発表する有効求人倍率も悪化しており、こちらにも新型コロナウイルス感染症の影響がみられてきています。雇用情勢の悪化が進み始めており、今後の動向に注視が必要とされました。

現段階では2019年度が2.4%、2020年度で3.5%、2021年度も3.5%の失業率予想となっています。

・東京都心5区の空室動向
空室率:0.48%(前月比+0.07ポイント)
現空面積:33,404坪(前月比+3,345坪)

2020年4月における東京都心5区大規模ビルの空室率は、統計開始以来の最低値を更新した前月に比べ、0.07ポイント上昇し、0.48%となりました。西新宿エリアで新築ビルが一部に空室を残したまま竣工を迎えたことが影響していますが、上昇幅はごく小さく、0.5未満と引き続きごく低い水準での推移を保っています。

現空面積は前月より3,345坪増え、33,404坪となりました。こちらも5カ月連続の3万坪台で、需給の引き締まった状態が維持されていました。今後は徐々に新型コロナウイルスの影響が顕在化してくるものと懸念されますが、現状では市場膠着状態で、明確な影響はみられていません。

賃料は再び上昇も市場の動きに鈍さ
・東京都心5区の募集動向
募集賃料:月額坪あたり32,153円(前月比+254円)
募集面積:286,556坪(前月比-3,492坪)

2020年4月の東京都心5区大規模ビルにおける募集賃料は、共益費込みの平均で、月額坪あたり32,153円となりました。前月より254円上昇し、再び32,000円台の高水準になっています。天井感も広がってきたことが指摘されつつあるものの、緩やかな賃料上昇傾向が維持されました。

しかし、緊急事態宣言に伴う外出自粛、営業活動の自粛などから、テナント募集活動も控えられており、市場の動きは鈍いと報告されています。募集面積は前月より3,492坪減って、再び28万坪台、286,556坪となりました。

・空室率の今後(中型ビル以上)
現在:0.6%
2021年第1四半期:3.6%
2022年第1四半期:4.2%
2023年第1四半期:5.1%

三幸エステートの関連会社であるオフィスビル総合研究所が4月27日に発表した資料によると、都心5区の空室率は、今後上昇に転じるとされています。1フロア面積50坪以上の中型ビル以上を対象とした予測では、現在の0.6%という空室率から、2021年第1四半期には3.6%まで上昇、2022年第1四半期には、さらに0.6ポイント上げて4.2%、2023年第1四半期には5.1%まで悪化するとされました。

背景には、景気の後退や失業率の上昇といった要因が挙げられており、長く記録的な低さを維持してきたオフィスビル空室率も、本格的な上昇局面に入っていく時期が間近となっているようです。

三幸エステートでも、当面は2、3%台の低水準といえる空室率で推移するものの、3年後で5%前後には上昇するとみており、市況の大幅な悪化には至らずとも、これまでの動きに変化が生じる可能性が高いとしています。

また、ここで提示されている空室率予測は、5月4日になされた緊急事態宣言延長による経済への影響の長期化・深刻化は織り込まれていないため、今後の予測ではオフィスニーズの下方修正がなされる確率が高く、空室率の上昇ペースも現状予想よりアップするのではないかと考えられています。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像は三幸エステート「オフィスマーケットレポート 東京都心5区大規模ビル 2020年5月号」公開資料より)


▼外部リンク

三幸エステート株式会社 「オフィスマーケットレポート」資料提供ページ
https://www.sanko-e.co.jp/data/report/202005

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