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【pickupニュース】20年12月の不動産景気DI、8カ月ぶりに悪化

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帝国データバンクが最新の「TDB景気動向調査」結果を公開
株式会社帝国データバンク(以下、帝国データバンク)は8日、2020年12月分のデータをまとめた「TDB景気動向調査(全国)」の結果を公開しました。今回の調査対象企業は23,688社、そのうち有効回答を寄せたのが11,479社でした。

調査実施は2020年12月16日~2021年1月5日で、インターネット調査方式により行われています。全国の対象企業へ現在の景況感や先行きに対する見通しを尋ねたほか、経営状況と金融機関の融資姿勢について質問を行いました。

調査内で用いられている「DI」は、回答企業による、各項目への「非常に良い」、「良い」、「やや良い」、「どちらともいえない」、「やや悪い」、「悪い」、「非常に悪い」の7段階評価にそれぞれ良い方を6とした0~6の点数を与え、それぞれの選択区分における回答数に乗じて算出した指数です。

景気DIは50を境とし、それより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となっています。なお企業規模などによるウェイト付けは行われていません。

景気予測DIは、先行きを予測する指標で、ARIMAモデルに経済統計やTDB景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたモデルで分析し、算出されています。

・全国の景気DI
2020年12月:35.0(前月比-0.4ポイント)

2020年12月の全国景気DIは35.0となり、前月に比べて0.4ポイント下落しました。2020年前半に新型コロナウイルスの影響から大きく落ち込んで以降、いったん底を打って回復傾向をたどってきた景気DIですが、今回、再び7カ月ぶりに悪化へ転じています。

感染再拡大に伴い、Go To事業など観光支援の各種施策が全国的に一時停止となったことなどがマイナス材料となり、持ち直し傾向にストップがかかりました。加えてボーナスの減額や新型コロナに関連した失業者の増加など、国民の所得環境が悪化、また一部地域での休業・時短営業などで個人消費の落ち込みが発生したこともマイナスに働いています。

このため、10業界中「小売」や「サービス」に代表される8業界が前月比でマイナスとなり、「製造」と「その他」の2業界のみプラスを記録する結果になりました。製造関連で、自動車関連の生産は堅調に推移し、工作機械や産業機械を含む機械製造、半導体製造装置などは、比較的好調となっています。

・今後の景気予測
1カ月後:32.6(2020年12月比-2.4ポイント)
3カ月後:31.1(同比-3.9ポイント)
6カ月後:32.8(同比-2.2ポイント)
1年後:39.7(同比+4.7ポイント)

今後の見通しですが、国内景気は新型コロナの感染拡大による社会経済活動抑制策が再び実施されることを受け、一時的に後退する可能性が高まりました。よって3カ月後の2021年3月までは緩やかな下落が続き、31.1まで低下する見通しです。

ただし感染状況の違いにより、地域間や業種間で大きな差が生じたり、景気の動きが二分されたりする可能性も指摘されました。雇用・所得環境の悪化による可処分所得の減少は、今後も個人消費を抑え、マイナス要因になると考えられます。

一方でワクチン接種の広がりや5Gの本格普及、東京五輪開催などはプラス要因になるとみられ、巣ごもり消費などニューノーマルに対応したニーズの取り込みや海外経済の回復などもプラス期待のポイントとなっています。

これらから3カ月後に底を打った景気DIは、再び緩やかに上昇基調となり、2021年8~9月頃に2020年12月の水準である35.0付近を突破、1年後の2021年12月には39.7まで回復すると予想されました。

建設、不動産とも前月比でわずかながら悪化
・業界別景気DI
農・林・水産:35.4(前月比-3.3ポイント)
金融:35.6(前月比-2.1ポイント)
建設:40.9(前月比-0.9ポイント)
不動産:36.4(前月比-0.4ポイント)
製造:33.9(前月比+0.6ポイント)
卸売:32.8(前月比-0.2ポイント)
小売:34.2(前月比-0.8ポイント)
運輸・倉庫:31.5(前月比-1.0ポイント)
サービス:35.7(前月比-1.1ポイント)
その他:30.8(前月比+1.4ポイント)

業界別で集計した2020年12月の景気DIは、「農・林・水産」が前月比より3.3ポイント低下し、最も大きな減少幅で35.4となっていました。「金融」も2.1ポイントとまとまった低下で、35.6になっています。

「建設」は40.9と、10業界中最高値で、相対的な水準としては高い状態を維持できているものの、前月より0.9ポイント悪化し、40.9になりました。

「不動産」も前月より0.6ポイント低下し、36.4になっています。不動産業界は2020年4月に21.9という低値にまで落ち込みましたが、それ以降は回復傾向を続けてきていました。今回、再びやや下落で後退し、10月時の水準に低下しています。

テナントに関連しやすい「小売」は、耐久消費財を扱う業種の大幅悪化が目立ち、スーパーが堅調に推移する中、前月比0.8ポイントマイナスの34.2となりました。「運輸・倉庫」は人の動きが再び抑制される中、旅客自動車運輸など、観光業関連の景況感が悪化し、31.5となっています。

「サービス」では、やはりGo To事業などの停止が響き、「旅館・ホテル」が前月比で16.9ポイントの下落と、過去最大のマイナス幅を記録しました。「飲食店」も5.7ポイントのマイナスで大きく悪化しています。一方、「放送」には広告出稿が戻ってくるなどプラス要因が働き、3.6ポイントの上昇がみられるなど、「サービス」内での業種間による温度差が大きく発生、全体では35.7となりました。

・建設の景況感
【現在】
防災・減災、国土強靱化対策などで公共事業の発注量が多いが人手不足は顕著(土木工事)
通信建設業で新型コロナ影響は少なく、インフラニーズが続いている(電気通信工事)
年度末に向け工事発注量が急増(舗装工事)
新型コロナ前から百貨店の売り上げが低迷、さらに新型コロナで飲食・ホテル・観光関連が低迷し新規店舗出店がなく最悪(内装工事)
スーパーゼネコンなどが新型コロナ理由で施工単価をかなり絞っており、物件はそれなりにあるが単価が合わず見送り多数(一般電気工事)

【先行き見通し】
すでに来年の工場山積みが夏以降まで見え今期より受注金額が上昇、値戻りも少しある(鉄骨工事)
5G関連工事が多く、3年ほど続く(電気通信工事)
HPアクセス数や問い合わせが増加、来期商談件数が増加傾向(建築工事)
行政予算計上によるが徐々に悪くなっていく見通し(はつり・解体工事)
現在は災害復旧工事の受注が大半で、今後が不安(土木工事)
新型コロナ影響がいよいよ現れ始める(一般管工事)

建築分野における現在の景況感としては、土木工事系から公共事業の発注量が多い、電気通信工事系で通信インフラの高いニーズがある、舗装工事系で年度末需要の高まりによる工事発注量の増加といったプラスのコメントが寄せられました。

一方、土木工事系でも人手不足が引き続き顕著であるという懸念の声もあります。また新型コロナの影響を訴える声は内装工事や一般電気工事系からあがっており、とくに内装工事では小売や観光関連の売り上げ低迷でリニューアルや新規店舗出店の話がなくなり、最悪の状況にあるとのコメントが寄せられました。

先行きについては、鉄骨工事系で今期より受注金額が上昇する見通しであるほか、電気通信工事は5G関連で好調が続く予想となっています。また、建築工事系でも来期の商談件数が増加傾向と明るい兆しの報告がありました。

これに対し、はつり・解体工事系は徐々に悪化の見通しで、土木工事系でも、現在の災害復旧工事受注終了後における新型コロナでの新規発注減少を不安視する向きがみられています。一般管工事系でも、新型コロナによる影響が現れ始めるとの懸念の声が寄せられました。

・不動産の景況感
【現在】
年収減の前に住宅ローン借入をする人があり物件が売れる(不動産代理・仲介)
新型コロナ影響はあるが売買は動いている(建物売買)
新型コロナで消費行動が抑制されテナント退店が続く、都心部に近い商業施設がとくに顕著(貸事務所)
新型コロナで不透明、冬季閑散期で景気は良くない(不動産管理)

【先行き見通し】
在宅勤務でマンションは不向きなのか地方の安い戸建住宅ニーズが増加(土地売買)
新型コロナで転勤や移動も少なく来店客が望めない(不動産代理)
金融機関の不動産に対する融資姿勢の厳格化で取引が縮小傾向の見込み(建物売買)

不動産業界における景況感としては、現在の状態として、不動産代理・仲介から、年種が下がる前に住宅ローンを借り入れて物件を買う向きがある、建物売買では新型コロナの影響はあるものの、不動産売買は動いているといった良好な感触を伝える声がありました。

一方で、貸事務所ではテナント退店が目立ち、都心部に近い商業施設がとくに酷い状況だという声があるほか、不動産管理でも新型コロナで不透明な情勢が続き、冬季閑散期でさらに景気が良くないとのコメントが寄せられています。

先行きについては、土地売買で在宅勤務の広がりから、地方の安い戸建住宅を求める人が増加しているとの声がありました。しかし、転勤や移動が自粛され、人の移動全体が抑制される中、来店客が多く望めない状況との声が不動産代理からあがったほか、建物売買からは金融機関の融資姿勢が厳しくなっており、取引自体が縮小傾向になるとの予測コメントがあり、ややマイナスの見方が強まっています。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像は帝国データバンク「TDB景気動向調査(全国)」公開資料より)


▼外部リンク

株式会社帝国データバンク プレスリリース
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/k210101.html

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