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【pickupニュース】不透明感強く低迷する景気DI、不動産・建設は改善

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帝国データバンクが11月の景気DIデータを公開
株式会社帝国データバンクは4日、2019年11月版の「TDB景気動向調査(全国)」結果を公表しました。今回の調査対象は23,678社で、うち有効回答となったのが10,046社です。

DI(Diffusion Index)は、「非常に良い」から「良い」、「やや良い」、「どちらともいえない」、「やや悪い」、「悪い」、「非常に悪い」までの企業による7段階評価判断に、6点から0点までの点数を与え、有効回答数で除して指数値とし、算出されているものです。

企業規模の大小によるウェイト付けは行われておらず、あくまで1社1票となり、50が判断の分かれ目、それより上ならば「良い」傾向、下ならば「悪い」傾向が強いということを意味します。

また景気予測DIは、DIの先行きを予測するもので、ARIMAモデルに経済統計やTDB景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたモデルで分析し、算出されています。

・全国の景気DI推移
2019年11月実績:43.6(前月比-0.3ポイント)
2019年12月予測:43.4
2020年2月予測:42.5
2020年5月予測:41.7
2020年11月予測:40.4

2019年11月の全国景気DIは、前月より0.3ポイント低下し、43.6となりました。2カ月連続の悪化となったほか、50を下回っています。主に製造業で景況感の悪化が続き、関連業種にもマイナスの影響が及びました。

さらに消費税率の引き上げから、駆け込み需要の反動減も重なり、住宅などへの投資意欲も減退傾向となっています。人件費や輸送費の高値推移も響き、耐久財などを中心に取り扱う小売業にとっては、とくに厳しい環境となりました。一方で災害復旧や防災・減災を目的とする公共工事の増加、日経平均株価の上昇と円安基調は好材料で、マイナス要因を補うものになっています。

今後の国内景気DIについては、消費税率引き上げで落ち込んだ消費の行方に左右されるところが大きいと考えられますが、貿易摩擦の激化などから減速する世界経済の状勢、輸出の低迷、市場の先行き不透明感から減退していく設備投資意欲などが、マイナス材料として不安視されています。

また、人手不足や原材料の高騰といったコスト増もマイナス要因で、米中貿易摩擦や日韓関係の行方、世界的な金融緩和政策の影響とともに注視が必要な状況が続くと見込まれました。こうした中、公的支出は景気の下支えとして働き、東京五輪・パラリンピック開催に向けた消費マインドの高まりは、プラス要因となっていくとみられています。

これらマイナス要因、プラス要因を総合的に勘案した結果、今後のDI推移は緩やかな低下傾向になるとされ、1年後の2020年11月には40.4にまでダウンする見通しです。

不動産や建設のDIは前月比でやや改善
・不動産関連業界DIの動向
建設:52.2(前月比+0.1、前年同月比-1.7)
不動産:46.0(前月比+0.1、前年同月比-3.3)
製造/建材・家具、窯業・土石製品:43.8(前月比-1.0、前年同月比-3.7)
卸売/建材・家具、窯業・土石製品:43.4(前月比-1.7、前年同月比-3.5)
サービス/旅館・ホテル:42.0(前月比+0.7、前年同月比-3.5)

業界別の景気DIでは、製造業をはじめ5業界が悪化しました。とくに製造、卸売、小売の3業界は、全体のDIが30台で低迷しています。不動産関連でも、製造の「建材・家具、窯業・土石製品」が43.8で前月より1.0ポイント悪化、卸売の同部門が43.4で、前月より1.7ポイント悪化しました。

サービス業界は、全体のDIが50.4と50を上回っていますが、前月比では0.2ポイント低下し、2カ月連続の悪化となりました。「旅館・ホテル」部門は前月より0.7ポイント改善したものの、42.0と40台前半の推移になっています。

消費増税や輸出減などで低迷した製造業や小売業に対し、建設、不動産を含む5業界は前月より改善傾向となりました。建設は52.2で50を上回り、前月より0.1ポイントの上昇になっています。前年同月に比べると1.7ポイントの低下ですが、安定した受注の多さなどで、年間を通じ、50以上をキープしてきています。

不動産は前月より0.1ポイント上昇の46.0でした。50に迫った前年同月に比較すると、3.3ポイントの低下ですが、40台後半での推移が続いています。

・現在の景況感に関するコメント
【建設】
人手不足で仕事が多く出回っている(造園工事)
国土強靱化関連で官公庁からの発注(土木工事)
台風による浸水被害の復旧・復興事業(給排水・衛生設備工事)
大規模案件の減少、低予算仕事の増加で売り上げ減(内装工事)
資材・下請施工単価の高騰で利益減少(土木工事)
展示場や分譲地への来場が極端に減少(建築工事)
個人住宅の新築着工が激減(内装工事)

【不動産】
オフィスビルの空室率低下でテナント需要が非常に旺盛(不動産管理)
低金利追い風、不動産売買成約価格も堅調(不動産代理・仲介)
ファミリー層の住宅ニーズが高い(建物売買)
金融機関の引き締めで一般顧客が動かない(土地売買)

現在の地場景況感に関する企業の具体的な声としては、建設関連から、人手不足の状況は深刻ながら仕事が多い、官公庁からの発注も安定してある、台風による浸水被害の復旧・復興ニーズが高いなどのプラスコメントがある一方、消費税の増税影響からか、大規模案件が減少し、低予算の仕事が増えているため売り上げが減少した、一般消費者の住宅展示場や分譲地来場者が激減している、個人住宅の新築着工がきわめて少ないといったマイナスコメントが目立ちました。資材や下請施工単価が高騰し、案件は多くても利益が減少しているといった声もあります。

不動産業では、オフィスビルの空室率がごく低いため、テナント需要が非常に旺盛で良いとする声や、低金利が追い風となる状況が続いており、不動産売買の成約価格も堅調だとする声などがみられました。ファミリー層における住宅ニーズも高まっているようです。一方、金融機関の融資姿勢はやや厳しく、引き締めから顧客が動かなくなっているとする土地売買関連業者からのコメントがありました。

・先行き見通しについて
【建設】
駅周辺や中心部の開発予定が多数(左官工事)
施工業者に対する案件数が多く中長期での受注に期待(一般電気工事)
復興予算決定で災害復旧工事受注量の増加を予想(土木工事)
東京五輪需要の揺り戻しを懸念(建築工事)
個人住宅着工が激減、物件が過去にないほど少なくなる(内装工事)

【不動産】
東京五輪に伴う鉄道関連施設の安全確保需要を見込む(不動産管理)
商業活動の活発化によるニーズ増を期待(貸事務所)
消費税率引き上げの景気対策終了後に落ち込む(貸家)
五輪後の市況が悪化しそう(不動産代理・仲介)
不動産価格や建物建設費用の高騰が行き過ぎ(不動産管理)

先行き見通しについては、建設関連で、駅周辺や中心部の開発予定が多く、案件の豊富さを見込む向きや、中長期での受注増、復興予算が決定してさらなる災害復旧工事の受注量増を予想するといったプラス面のコメントが寄せられました。一方、東京五輪需要が終了したのちの揺り戻しを懸念する声や、個人住宅着工が激減しており、案件は過去に例がないほど少なくなる見通しだという内装工事業者の声もみられます。

不動産関連からは、東京五輪開催に伴う鉄道関連施設の安全確保需要を新たに見込んでいるという声や、商業活動の活発化で需要も増えるのではないかと考える貸事務所業者の声がプラスの見方としてあります。その一方で、消費税率引き上げを受けた景気対策が終了した後は景気が落ち込むだろうというコメントや、五輪後の市況悪化を予想する声、現在の不動産価格や建物建設費用における高騰ぶりが行き過ぎていると不安視する声などもありました。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像は帝国データバンク「TDB景気動向調査(全国)2019年11月」公開資料より)


▼外部リンク

株式会社帝国データバンク プレスリリース(調査結果提供ページ)
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/k191201.html

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