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レオパレス問題を契機に「建築基準法」の意義を再確認

法令違反が原因で、物件に暮らす居住者が不利益に
2019年2月、レオパレス21は同社が建築した物件が建築基準法に違反している可能性があると発表しました。居住者は住み替えしなければならない事態となり、同社は世間から厳しい批判を受けている状況です。

同社が建築基準法違反の可能性を発表した経緯を整理した上で、建築基準法の意義をあらためて確認してみましょう。

レオパレス問題を時系列で整理
レオパレス21が建築基準法に違反している可能性があると公表した流れを時系列で整理してみます。

2018年4月、同社は物件のオーナーより「建築確認を受けた図面と実際の施工が異なる」との指摘を受け、対象物件を調査することとしました。具体的には、各住戸の間の壁として使用する「界壁」が実際には施工されていなかった点です。

2018年5月、同社は対象物件を調査した結果、界壁が未施工、もしくは施工不十分であり、建築基準法の疑いがあると発表しました。その後、同社は施工した物件の全棟調査を実施します。

2019年2月、同社は全棟調査の実施中、界壁の未施工以外にも、別内容で建築基準法に違反している疑いがあると発表しました。

違反が疑われている内容としては「界壁が遮音性を満たしていないこと」、「大臣認定の仕様ではない外壁を使っており、防火構造の基準を満たしていないこと」、「3階建て物件の天井部分が耐火基準を満たしていないこと」の3点です。

これにより同社は、居住者に対し、同社負担による住み替えの案内を通知したほか、オーナーに対しては同社負担で補修工事を行い、募集保留期間の空室賃料を保証することとしました。

参考:レオパレス21 プレスリリース
2018年4月27日付
https://www.leopalace21.co.jp/news/2018/0427_2449.html

2018年5月29日付
https://www.leopalace21.co.jp/news/2018/0529_2507.html

2019年2月7日付
https://www.leopalace21.co.jp/news/2019/pdf/0207.pdf

建築基準法を遵守すべき理由とは?
それでは、なぜ建築基準法を遵守すべきなのでしょうか。その理由については、建築基準法第一条に記載されています。

この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
(引用:電子政府の総合窓口 e-Gov 建築基準法)


上記に記載されているとおり、建築基準法が定められた目的は、「国民の生命、健康、財産を守ること」です。建築基準法にはさまざまな決めごとがありますが、人々が安心して暮らしていくことを踏まえれば、建物の構造や設備に関することは遵守すべきではないでしょうか。

レオパレス21で問題になった点をまとめると、「遮音性」に関することと「防火性・耐火性」に関することです。遮音性が保たれなければ、騒音が気になって快適な暮らしを送ることができなくなってしまいます。

また、防火性や耐火性が低ければ、万が一火災に見舞われたとき、火の回りが早く、逃げ遅れてしまうことにもなりかねません。

建築基準法を守る理由は、住居で生活する上で暮らしやすい環境とすること、そして、災害に見舞われた際の被害を最小限にすることが目的といえます。

建築基準法を守らなければ、信頼が失墜することに
建築基準法を守らない状態で建物を建てれば、建物の質が低くなってしまいますが、それ以上に危惧すべきことは、企業の信頼が失墜してしまうことです。

一度信頼が失墜してしまうと、その信頼を取り戻すためには長い時間を要します。顧客離れにより売上が低迷することも考えられ、場合によっては、会社の存続自体が危ぶまれる状況に追い込まれてしまうかもしれません。

信頼を取り戻すためには、法令を遵守し、誠実な対応を地道に続けていくことが重要となります。

レオパレス問題を機に、なぜ建築基準法を守る必要があるのか、そして、建築基準法を守らなければどのような事態になってしまうのか、ということをあらためて認識し、同様の問題の再発に努めなければなりません。

(画像は写真ACより)

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