クラスコの資産運用

収益物件

【pickupニュース】ESG配慮で不動産価値が高まると考える投資家は約8割

日々のニュースの中で不動産投資や賃貸経営、資産運用など暮らしに関わるニュースをピックアップしてます。
今回ピックアップするニュースはこちら!

国土交通省がESG不動産評価に関する調査を実施
国土交通省は26日、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した不動産(ESG不動産)の評価に関する調査を実施し、その結果をとりまとめて公開しました。近年はオフィスビルにおいても環境性や快適性、健康性(ウェルネス)を求める傾向が高まっており、そうした企業ニーズに投資家の注目も集まっています。

世界の潮流となってきているこのESG投資に着目し、2018年3月には、国土交通省も「ESG投資の普及促進に向けた勉強会」の最終とりまとめを行って、不動産鑑定評価への反映を含めたESG不動産投資の基盤整備に関する方向性を打ち出すなど、積極的な対応を進めています。

今回のアンケートは、こうしたESG不動産に関する投資家や入居企業の意識を最新動向として調査したもので、2018年10月1日~10月25日の期間、企業年金基金や厚生年金基金、J-REIT、私募リート、私募ファンド運用機関、金融機関、一般事業会社を対象に郵送調査で行っています。対象となったのは計3,000社で、有効回答は411社、回答率が13.7%でした。

・ESG配慮による不動産の価値
【全体】
価値は高まる:49.8%
価値は高まっていないが今後高まる:26.5%
今後も価値は高まらない:5.4%
価値は今後低くなる:1.0%
価値は高まるか分からない:17.4%

【テナント入居者】
価値は高まる:47.4%
価値は高まっていないが今後高まる:20.6%
今後も価値は高まらない:3.1%
価値は今後低くなる:1.0%
価値は高まるか分からない:27.8%

【不動産投資家/オーナー】
価値は高まる:55.4%
価値は高まっていないが今後高まる:29.3%
今後も価値は高まらない:5.8%
価値は今後低くなる:0.4%
価値は高まるか分からない:9.1%

不動産について、ESGへの配慮により価値がどうなると考えるか尋ねたところ、全体では「価値が高まる」とした人が49.8%と約半数で、現時点では「高まっていない(あまり差がない)が今後価値が高まる」とみる人が次いで多い26.5%でした。合計した76.3%、約4分の3は価値を高めることにつながると考えていると分かります。

テナント入居者側の意識としては、全体平均よりやや価値が高まると見込む人が少なく、「高まる」と「今後高まる」の合計で68.0%と7割弱でした。「不動産価値は高まるか分からない」との回答が27.8%と多いのが特徴で、まだ動向をつかみかねている可能性もあるとみられます。

不動産投資家やビルオーナー側になると、「不動産価値は高まる」とする人が55.4%と過半を占め、「今後高まる」とする人も29.3%にのぼりました。合計84.7%と、価値向上につながると考える人が大半になっています。「価値が今後低くなる」とした人は、わずか0.4%にとどまりました。

・ESG配慮の不動産投資を行う理由
入居者などがESG不動産を重視・選別している:35.5%
主要投資家がESG投資を重視、企業投資を選別している:22.4%
CSRなどを考慮した責任投資を行うのが世界の潮流:11.8%
不動産投資市場でのESG評価が高まり価値が上昇する:9.9%
他の競合企業がESG配慮投資行動をとっている、またはとらなければ競争力が落ちる状況にある:7.2%
家賃・稼働率の安定化や上昇でキャッシュフロー改善が見込める:6.6%

ESGに配慮した不動産への投資を行う理由について、不動産投資家とビルオーナーに尋ねた結果では、「入居者や入居企業がESGを重視して不動産を選別しているから」という回答が最も多く35.5%を占めました。次いで多いのは「主要投資家(エクイティ資金供給者)がESGに配慮した投資行動を重視し、そうした企業への投資を選別しているから」の22.4%となっています。

「CSRやIRなどを考慮し責任投資、社会貢献を行うのが世界の潮流だから」という回答もこれに続き、11.8%で1割超になりました。「不動産投資市場でのESG評価が高まり、結果として流動性や価値が上昇すると考えられる」とする、比較的直接的な実利的理由も9.9%でみられています。

ESGで許容できる家賃上昇率は4~6%が最多
・入居時におけるESG配慮の理由
従業員の労働環境改善・満足度向上:60.9%
業務生産性向上:13.5%
中長期的な光熱費負担などのコスト低減効果:11.1%
CSR・IRなどを考慮し社会的責任や社会貢献を意識:9.7%
優秀な人材確保、長期雇用安定への寄与:4.9%
その他:0.0%

入居時においてESGに配慮する理由は何か、尋ねた問いでは、「従業員の労働環境改善、満足度向上につながる」からが圧倒的トップの60.9%でした。テナント入居者に限定すると、この割合はさらに高く66.3%にのぼっています。

3位には「中長期的な光熱費負担などのコスト低減効果がある」という経済的メリットもランクインしましたが、回答率は11.1%にとどまり、テナント入居者側ではわずか3.6%となるなど、少数派の傾向となっています。経済性以上に環境改善によるソフト効果が期待されていることがうかがわれました。

テナント入居者側からは、「業務生産性向上」や「優秀な人材確保、長期雇用安定」への寄与も高い割合で期待され、ESGに配慮する理由の上位にあがってきています。

・入居時におけるESGへの配慮程度
配慮しておらず今後も変わらない:9.3%
配慮していないが今後は配慮する必要がある:28.5%
ある程度配慮している:49.0%
大いに配慮している:13.2%

入居時におけるESGへの配慮については、「ある程度配慮している」が49.0%で最も多く、およそ半数になりました。テナント入居者側では61.6%にのぼり、6割を超えています。「大いに配慮している」との合計は62.2%、テナント側では70.7%でした。

全体で2番目に多いのは「配慮していないが今後は配慮する必要がある」の28.5%で、こちらは不動産投資家やビルオーナー側に多く、35.5%の回答率となっています。

・ESG不動産への家賃上昇許容率
0%:13.7%
0~2%:12.9%
2~4%:15.6%
4~6%:24.3%
6~8%:5.9%
8~10%:11.1%
10%超:7.3%
それ以外:9.2%

ESG不動産への入居にあたり、そうでない同等の不動産物件と比較して許容できる家賃上昇率はどの程度か尋ねた問いでは、「4~6%」が最多の24.3%でした。テナント入居者、不動産投資家・ビルオーナーの別で集計した結果でも、やはり両者で「4~6%」が最多になっています。

ただし、不動産投資家・ビルオーナー側では、全体と同様の回答分布傾向となったのに対し、テナント入居者側では「4~6%」に次いで多いのが「0%」で2割超みられ、よりシビアな判断をする入居者も多いことが明らかとなりました。一方で「10%超」を許容する入居者も7.2%、全体では7.3%存在し、かなり開きがある状況もうかがわれました。

・ESG不動産への入居促進策
優秀な人材確保、長期雇用安定に寄与、従業員の満足度や業務生産性アップにつながると分かる検証結果や好事例などの情報開示:37.4%
既存の認証制度と比較し価値要素を「見える化」する新認証制度の創設:23.1%
事業収支の改善や不動産価値の向上につながると分かる検証結果や好事例などの情報開示:12.3%
不動産売買・賃貸における情報開示の義務化:9.0%
国民や企業に対する普及啓発、啓蒙活動の積極展開:7.4%
ESG要素を積極的に鑑定評価に反映させる仕組み:4.4%
ESG不動産に対する不動産流通税などの軽減措置:3.8%
ESG不動産に対する金融機関の融資利率低下:1.8%
その他:0.8%

今後国内において、ESG不動産への入居がより一層浸透・促進されるような策として、どのようなものが有効と考えられるか尋ねた結果では、「ESG不動産への入居で優秀な人材確保や長期雇用安定への寄与、従業員満足度や業務生産性向上につながったと分かる検証結果や好事例などの情報開示」とする声が最も多く、37.4%にのぼりました。テナント入居者側、不動産投資家・ビルオーナー側のいずれでも、同項目が38%台でトップになっています。

次いで多いのは「既存の認証制度と比較して、よりESG要素を「見える化(評価の透明性を改善)」する新たな認証制度の創設」で、23.1%の回答率でした。このほか、3位につける「ESG不動産への入居で事業収支の改善や不動産価値の向上につながったと分かる検証結果や好事例などの情報開示」も、とくにテナント入居者側で支持され、全体で12.3%、テナント入居者に限った結果では16.9%となっています。

関係者においては、主にこれらトップ3の促進策が、ESG不動産の普及を後押しするとみられていることが明らかになりました。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

国土交通省 報道発表資料
http://www.mlit.go.jp/

PAGE TOP