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等価交換による土地活用

広い土地を所有している場合、大規模施設を建設して活用しようと考えることもありますが、大規模な施設を建設するためには莫大な資金が必要になるので、どうしたら良いのか悩んでいる土地オーナーもいるのではないでしょうか。

今回は、そんなオーナーにとっておすすめの等価交換による土地活用について解説します。

土地活用|意外と知らない「等価交換」
土地の等価交換とは、所有者が土地開発業者などと契約して、その土地の一部もしくは全部を提供する代わりに、土地開発業者が建築物を造り、その土地の価格に相当する区部所有権を得る方法です。

この方法は、土地所有者が土地を手放す代わりに、手持ち資金を使わずに建築物を造ってもらい、同等の価値の建物区分所有権を得ることができるので「等価交換」と呼ばれています。

土地所有者は、等価交換して得た区分所有権を自由に利用することができるので、活用できていない土地があれば、等価交換によって有効活用できる可能性もあります。

では、「等価交換」のメリット・デメリットは、どんなことがあるのでしょうか。

【等価交換のメリット】
・自己資金がなくても土地活用ができる
建物の建築費などは、土地開発業者が負担するので、土地所有者は、自己負担がなくても土地の活用ができます。

・減税効果が期待できる
土地を所有しているだけだと100%の相続税評価額となりますが、その土地を賃貸すると借地権付きの土地として扱われ借地権割合の分の評価額が減額されます。

そのため、土地の評価額が下がることで相続税評価額も低くなることが期待できます。贈与税も同様です。

・無税で土地を譲渡(売却)できる
不動産を売却したときに掛かる「譲渡所得税」が、等価交換の場合は「立体買い替えの特例」という特例を受けられる可能性があります。

これは、市街地内の土地を譲渡(売却)したときに一定の条件を満たせば譲渡所得税が100%繰り延べられる特例で、この特例が適用されれば、無税で土地を譲渡(売却)することも可能です。

しかし、この特例は「課税の繰り延べ」で「免除」ではありません。等価交換で得た区分所有権を売却する場合は、まとめて譲渡所得税を支払う必要があるので注意しましょう。

【等価交換のデメリット】
・土地の所有権がなくなる
土地を全部譲渡してしまうと建築した建物の区分所有権のみを取得することになります。また、土地の一部を譲渡したとしてもその分は失ってしまうことになります。

その結果、自分の都合で土地を利用することができなくなり、新しく所有した土地開発業者の意向に左右されるようになります。等価交換する土地に強い愛着や思い入れがある場合は、辛い思いをするかもしれません。

・利回りや等価交換が低くなる
土地と交換する建物は、建築費用原価での計算ではなく販売価格で評価されるため、自己負担で建物を建てて賃貸運営する場合と比較すると利回りが低くなります。

また、等価交換の交換基準は明確に定められていないので、等価計算をするときに土地の方が安く評価されることもあります。

・立地が制限される
マンションなどの大規模施設の需要があるエリアで広さと容積率がクリアできる土地でなければ、等価交換されることはありません。そのため、どんな土地でも等価交換できることはなく、土地が制限されてしまいます。

土地活用|「等価交換」の成立要件
では、「等価交換」の成立要件はどのような流れで行うのでしょうか。

1.土地開発業者がその土地の採算性を確認する
2.土地開発業者が事業計画書を作成して土地所有者と折衝
3.基本契約を交わす
4.土地開発業者が建物の詳細設計を行い土地所有者と本契約をする(全部譲渡の場合は、土地の所有権が移転される)
5.マンションなどの大規模施設を建築
6.土地所有者に区分所有権の割り当てと登記を行う
7.部分譲渡の場合は、該当する土地の所有権が移る

等価交換の場合は、このような流れで成立されるのが一般的です。

土地活用|100坪以上の広い土地、どう活用する?
実際に100坪以上の広い土地の活用は、どのように行われるのでしょうか。ここでは、3つの事例をあげてみます。

事例①海が見える150坪の土地
海が見える150坪の土地を等価交換でマンション建築した場合、土地の価値と同額分の部屋を得られるので、その土地に住み続けられるだけでなく、手に入れた残りの部屋を賃貸することで定期収入を得ることも可能です。

この場合、マンションの建築費用を土地開発業者が負担し、土地を提供した所有者は、マンションの部屋を土地の価値分得ることができるので、数部屋手に入れた場合は、大きな負担なく収入を得ることができます。

事例②山に囲まれた500坪の土地
山に囲まれた500坪の土地は、一見すると等価交換が難しい土地に思われますが、近年では、介護施設などのニーズが高まり注目されています。

例えば、サービス付き高齢者向け住宅であれば、出勤のために毎日外出することもなく、立地条件が入居者募集を困難にすることもありません。

また、一度入居すると生活環境の変化が少ないため、長く住み続ける傾向にあります。土地所有者が山に囲まれた500坪の土地を有効活用するのは、資金的に困難な場合もありますが、等価交換すれば等価の部屋が土地所有者に提供されるので、継続した賃料が見込めます。

事例③幹線道路沿いの800坪の土地
幹線道路沿いの広い土地は、等価交換に適しているといえます。

例えば、幹線道路沿いにある土地で事業を営んでいましたが、建物の老朽化と経営上の問題から廃業を考えている場合、財務処理の関係もあって土地を売ることを検討する方が多いでしょう。

しかし、等価交換したことで、1,2階に店舗のある13階建てのマンションを建設し、土地所有者がその店舗を取得することで、家賃収入を得た例もあります。

この場合は、土地の交換差金で、残務を完済し、残った部分で店舗を取得し継続的に利益を上げることが可能となりました。自己資金がなくても不動産物件を取得して利益を上げることができるのが等価交換の特徴です。

(画像は写真ACより)

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