クラスコの資産運用

収益物件

2021年税制大綱のポイントを不動産分野に絞って解説!

2021年の税制大綱は、コロナの影響で経済が低迷している状況の中で、ウィズコロナ・ポストコロナの新たな経済成長を支えるために減税重視となっています。

では、不動産分野の税制はどのようになっているのでしょうか。

今回は、税金対策を踏まえて2021年度の税制大綱のポイントを不動産分野に絞って解説します。

1.2021年度税制改正⼤綱とは?
2020年1月に最初のコロナ感染者を確認して以降、感染拡大と戦後最大の経済の落ち込みに直面したことから、厳しい状況に置かれている納税者を救済するために通常の年度改正から切り離して「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」を決定されました。

そのことによって、固定資産税の評価替えの対応を含めて地方税制で必要な措置を講じることになり、これは、不動産分野に限れば特別控除や控除期間の延長などの特例措置を意味します。

わかりやすくいえば、2021年(令和3年)から2023年(令和5年)までは、土地に係る固定資産税の減額制度の継続や2021年に限れば、負担調整措置などによって税額が増額する土地について前年度の税額に据え置くなどの措置を講じることとなります。

2021年の税制改正は、コロナ感染症によって特別なルールを適用しているといえるでしょう。

2.個人所得課税
ウィズコロナ・ポストコロナを見据えて、落ち込んでいる経済を立て直すために2021年度の税制は特例的な減税が行われています。

それは、不動産にかかる個人所得課税にも及んでいますが、どのような特例措置が行われているのでしょうか。

ここでは、不動産に係る税制の措置をわかりやすく解説します。

ー住宅ローン控除の特例延長等(案)
消費税率が10%に引き上げられたときに、反動減対策の措置として10年間の住宅ローン控除期間が特例として設けられましたが、この特例措置が3年間延長されて13年間となります。

この控除は、2019年10月~2020年12月31日までに入居することが条件でしたが、コロナ感染症の影響を踏まえ新築家屋の契約期間などを延長してきました。

さらに、2021年度の改正では、契約期間や入居時期の要件の適用期間が下記のように延長されることとなります。

・居住用家屋の場合は、2020年10月1日から2021年9月30日までに契約すること

・新築分譲住宅の取得や既存住宅を取得する場合は、2020年12月1日から2021年11月30日までに契約したもの

・2021年1月1日から2022年12月31日までに入居すること

ただし、前提として消費税が10%となる物件が条件となります。また、中古住宅の個人売買の場合は、消費税が課税されないので対象となりません。

その他、住宅ローンの年末残高もしくは住宅の取得対価(上限4,000万円)のいずれか少ない方の金額の1%もしくは、建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3のどちらか少ない方の金額が3年間にわたり所得税から控除されます。

この上限額は、新築・未使用の長期優良住宅、低炭素住宅の場合、5,000万円に増額されます。

また、13年間のローン控除が適用されることを前提に、床面積が40平米以上50平米未満の住宅についても住宅ローン控除の適用対象となりますが、適用を受ける年分の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件となっています。

従来の50平米以上を要件とする住宅ローン控除は、合計所得金額が3,000万円以下となります。この床面積は、登記面積なので注意が必要です。

ー住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充(案)
諸外国の贈与税の在り方や高齢世代の増加に伴い、相続税と贈与税のシステムを見直されることが期待されます。

現状は、2021年4月以降の住宅契約分から非課税額を減額する予定でしたが、この度の改正により非課税枠の減額がなくなり据え置かれることとなります。

また、贈与を受けた人のその年の合計所得金額が1,000万円以下の場合は、床面積要件の下限を50平米から40平米に引き下げますが、上限は変わりません。

ただし、住宅ローン控除が消費税10%の住宅であることに対し、贈与税の面積緩和要件に消費税10%の住宅であることや中古住宅の取得も対象なのかは明記されていないので、今後の政令などで確認する必要があります。

ー土地に係る固定資産税等の負担調整措置(案)
2021年度は、固定資産税評価額の評価替えの年になります。3年に1度行われる評価替えにより評価額が上昇した場合は、固定資産税も増加しますが、2021年度に限り2020年度の課税標準額として据え置くこととなります。

評価額が下落した場合は、その評価額に基づいて課税されるので安心です。

また、固定資産税評価額が増額する場合は、税負担が急激に増えないように「条例減額制度」及び「税負担急増土地に係る条例減額制度」を含めて負担調整措置が行われますが、この措置は、2023年度まで継続されます。

ー不動産取得税の課税標準及び税率軽減の3年延長
宅地を取得したときの不動産取得税の課税標準価格を2分の1とする特例と住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の税率を4%から3%に軽減する特例の期限が3年間延長されます。

3.コロナ禍を踏まえた2021年の税制大綱(まとめ)
2021年の税制大綱は、ウィズコロナ・ポストコロナによって厳しくなった企業や個人の負担を軽減するために減税の据え置き、引き下げをメインに行われました。

不動産に限っていえば、2021年から2022年は、有利な1年となりますが、2022年以降の減税は不透明です。住宅の購入や住み替えは、税金の減額措置がある2021年を念頭に動いてみると良いでしょう。

(画像は写真ACより)

PAGE TOP