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【pickupニュース】20年Q1日本リテール市況、異例のデータ公表見送り

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CBREが最新レポートを発表、COVID-19で賃料減額要請のテナントも散見される事態に
世界最大の事業用不動産サービスと投資顧問事業を展開するCBREグループの日本法人、シービーアールイー株式会社は7日、「ジャパン リテール マーケットビュー」2020年第1四半期分のレポートを公開しました。

ただし、今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響から、プライム賃料、銀座ハイストリート賃料とその予想データ、空室率の集計・公表は見送られています。

賃料は成約事例の大幅減少により、現時点での想定が困難になっていること、空室率は感染リスクを考慮して繁華街での調査を控えたことがその理由として挙げられました。

・小売動向
3月の全国小売業販売額:前年同月比-4.6%
3月の全国百貨店売上高:前年同月比-33.4%

2020年第1四半期(1~3月)期の全国小売業販売額は、一時プラス水準になることもあったものの、3月は全体で前年同月比-4.6%と低調に終わりました。より深刻なのは全国百貨店売上高で、いずれの月も前年同月比マイナスとなったほか、中でも3月は33.4%もの減少と、過去最大のマイナス幅を記録しています。

・1~3月の訪日外国人動向
訪日外客数:前年同期比-48.9%
訪日外国人消費額:6,727億円(前年同期比-41.6%)
1人あたりの旅行支出:175,000円(前年同期比+18.8%)

訪日外国人の動向でも、新型コロナウイルス感染拡大から多くの国で海外渡航制限などの措置がとられたほか、日本でも検疫強化や査証の無効化などが進んだため、大幅に停滞傾向へと流れました。

訪日外客数は、前年同期比で48.9%ものマイナスになり、中でも3月は前年同月比で93.0%の減少にあたる194,000人にとどまったと報告されています。訪日外国人消費額もそれにつれて減少し、1~3月期の額は前年同期より41.6%マイナスの6,727億円となりました。

しかし1人あたりの旅行支出でみると、前年同期より18.8%増加し、175,000円となっていました。困難な中でもあえて訪れた人の支出額は高めであったようです。なお国籍・地域別では、ベトナムが255,000円でトップ、2位は中国の249,000円、3位にオーストラリアの238,000円となっていました。

首都圏好立地の募集物件では、なお引き合い強く
・エリア別出店割合
銀座:3%
表参道・原宿:61%
新宿:14%
渋谷:22%

路面店舗のエリア別出店割合を、首都圏4エリアで分析すると、銀座が3%、表参道・原宿が最多の61%、新宿で14%、渋谷は22%という結果でした。

・業態別出店割合
食物販・飲食店:44%
ファッション:11%
アウトドア・スポーツ:11%
ヘルス&ビューティー:6%
家具・雑貨:6%
ラグジュアリー:3%
ドラッグストア:3%
デジタル・通信:3%
エンターテイメント:3%
ショールーム:3%

上記の4エリアにおける路面店舗を業態別の出店割合で分析すると、「食物販・飲食店」が44%と最多で、これに次ぐのが「ファッション」と「アウトドア・スポーツ」の11%、「ヘルス&ビューティー」と「家具・雑貨」の6%などでした。以下はおよそ3%ずつの件数割合になっています。

・東京/銀座の動向
幅広い業態・複数のテナントが賃料減額を要請
ハイストリート物件で業績不振テナントが退店
入居協議リテーラー交渉でもストップ事例
感染拡大以前の契約締結リテーラーによる解除事例はなし
2021年竣工予定の新規開発物件では相場を超える賃料でテナントが内定

東京・銀座エリアの最新動向としては、COVID-19の影響から既存店舗の売上が減少し、そうした複数のテナントがオーナーに賃料減額の要請を行っていることが報告されました。要請を行っているテナントの業態は幅広く、減額幅や期間もさまざまであるため、回答もオーナーによって異なるとみられます。

ハイストリート物件では、以前から業績不振だったテナントで、これを機に退店を決めた事例がありました。また募集物件の中に、入居協議を行っていたリテーラーとの交渉がストップとなった事例もあったと報告されています。

従前よりリーシングに苦戦していたところでは、募集賃料を下げる向きもみられましたが、感染拡大以前に賃貸借契約を締結した複数のリテーラーでは、違約金を払ってまでの契約解除を決める動きは出ていません。

2021年の竣工を予定している好立地の新規開発物件では、複数のリテーラーによる競合が発生し、賃料総額が高額となる条件で新たに出店を決めたブランドもありました。またプライム立地の上層階区画では、相場を大きく超える賃料水準でも申し込みが入っており、強含みの傾向が続いています。

・東京/表参道・原宿の動向
複数の海外リテーラーが出店検討を一旦ストップ
新規開発予定物件でインバウンド需要激減によるキャンセル事例も
既存店舗の業績不振テナントは退店、再契約意向ありの飲食テナントでもキャンセル発生
相場を超える賃料設定や立地に劣る物件では引き合い弱め
好立地募集物件は複数リテーラーからの引き合いあり

東京、表参道・原宿の2020年第1四半期における動向では、複数の申し込み検討中にあった海外リテーラーが、一旦出店検討をストップするようになっています。新規開発予定物件で、インバウンド需要の激減による売上減少から、申し込みをキャンセルしたブランドもありました。しかし契約済みのリテーラーが出店を取りやめるまでには至っていません。

既存店舗では、以前から業績不振だったテナントが退店を決めているほか、定期借家契約の満了に伴い、もともとは再契約意向を示していた飲食店がこれをキャンセルした事例も確認されています。

もともと賃貸条件における折り合いがつかないことが原因ではあるものの、相場を超える賃料設定や、ハイストリートからやや中に入るなど立地に劣る物件では、テナントの引き合いが弱くなっています。今後さらに内定に時間を要する可能性があるでしょう。

一方で好立地の物件には、複数リテーラーからの引き合いがあり、差が顕著になっています。4月25日にオープン予定だった原宿駅前の複合施設「WITH HARAJUKU」が開店を5月28日に延期しましたが、今後の状況によってはさらなる延期もあるとされ、動向に注目が集まっています。

・東京/新宿の動向
ハイストリート好立地募集物件で複数リテーラーが出店検討
新宿駅西口物件で募集賃料を上回る申し込み
やや立地難の物件は決まりにくく減額・分割の可能性
内装資材調達遅延でオープン延期

東京・新宿エリアの動向としては、ハイストリートの好立地募集物件で、ラグジュアリーブランドを含む複数リテーラーが出店を検討していることが確認されています。また、新宿駅西口の募集物件では、もともと希少性の高いエリア物件であることもあり、募集賃料を上回る申し込みがありました。

一方でハイストリートから少し中に入った物件などでは、興味をもつリテーラーはいても成約に至りづらく、賃料減額や面積の分割に踏み切る可能性が出てきています。また、GW前のオープン予定であったリテーラーに、中国から調達予定の内装資材が届かず工事遅延で、オープン時期が延期となった事例がありました。

・東京/渋谷の動向
好立地物件で複数リテーラーが検討中、競合で賃料上昇か
面積大きめ物件でエンターテイメント施設が申し込み
中国食物販店舗の好立地出店、内装工事の遅れでオープン時期は未定
注目の「MIYASHITA PARK」は6月18日開業予定

渋谷の2020年第1四半期動向としては、好立地募集物件で、複数のリテーラーが検討を進めている事例がありました。飲食、サービス、ドラッグなど業態は幅広く、リテーラー同士の競合から、今後賃料上昇になる可能性も出てきています。

比較的面積の大きな物件では、エンターテイメント施設が申し込みを行いました。また中国の食物販店舗が駅前好立地に日本初出店を決めています。しかし内装工事の遅れなどから、オープン時期は未定となっているようだと報告されました。

渋谷区と三井不動産による再開発案件、「MIYASHITA PARK」は6月18日の開業予定と決定しています。入居全90店舗中、7店舗が日本初出店であるほか、世界初となるラグジュアリーブランドのメンズフラッグシップストアもあり、高い注目を集めています。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像はCBRE「ジャパン リテール マーケットビュー」公開資料より)


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https://www.cbre.com/

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