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【pickupニュース】19年下期REITの分配金成長率、前期を下回るも前年比プラスを維持

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三井住友トラスト基礎研がJ-REITの下期運用状況を発表
株式会社三井住友トラスト基礎研究所は27日、J-REITの2019年下期(7月~12月)の運用状況をまとめたレポートを公開しました。過去10年間で約20銘柄の増加が生じ、60銘柄超となったJ-REITは、投資用途や地域、成長ステージなどにおける多様化が進み、運用状況の全体像がつかみづらくなっていることから、こうした資料の活用が不可欠となってきています。

このレポートは、上期、下期の年2回、決算が出そろう9月と3月にとりまとめて公表されているもので、三井住友トラスト基礎研究所が蓄積した関連データと、その継続的分析結果をもとに、分配金やNAV、それらにかかる主要指標を定量的に可視化しています。

・分配金とNAVの成長率
【1口あたり分配金成長率分布】
-5.0%以下:5銘柄(前期比+2)
-2.5%以下:1銘柄(前期比+1)
0%以下:4銘柄(前期比+1)
+2.5%以下:10銘柄(前期比+1)
+5.0%以下:15銘柄(前期比+4)
+7.5%以下:9銘柄(前期比横ばい)
+10.0%以下:3銘柄(前期比-3)
+10.0%以上:9銘柄(前期比-4)
中央値:+3.6%(前期比-1.7ポイント)

【1口あたりNAV成長率分布】
-5.0%以下:0銘柄(前期比-1)
-2.5%以下:0銘柄(前期比横ばい)
0%以下:1銘柄(前期比+1)
+2.5%以下:9銘柄(前期比横ばい)
+5.0%以下:22銘柄(前期比横ばい)
+7.5%以下:12銘柄(前期比-5)
+10.0%以下:11銘柄(前期比+5)
+10.0%以上:5銘柄(前期比+3)
中央値:+4.9%(前期比+0.3ポイント)

2019年下期の分配金は、2.5%~5.0%の成長率となったものが最多の15銘柄で、中央値は前年同期比+3.6%となりました。上期の+5.3%に比較すると1.7ポイントの減少になっています。保有物件の賃料収入増や負債コストの減少、プレミアム増資効果などでプラス成長が維持されているものの、売却益の影響などから成長率が鈍化していると報告されました。

前期に比べ、売却益の寄与で成長率が大幅に高まる銘柄より、売却益の一部分配で当期中にそれがなくなり、剥落して成長率の低下を招く銘柄が増えました。マイナス成長率の銘柄が前期に比べ軒並み増加したほか、7.5%を超えるまとまった成長をみせる銘柄は、各帯域で減少しています。

1口あたりのNAV成長率をみると、こちらは2.5%~5.0%の成長率が引き続き最多で、22銘柄と多くを占めています。対象銘柄中央値は前年同期比で+4.9%となり、前期の+4.6%を0.3ポイントと、わずかながら上回りました。マイナス成長の銘柄は1銘柄にとどまり、7.5%以上の成長率を記録する銘柄が増加しています。

保有物件の鑑定評価額上昇や、プレミアム増資の効果が続いている点がプラス要因として働きました。セクター別では、住宅とオフィスの成長率が加速傾向にある一方、商業セクターで鈍化がみられています。

物件取得額は約7,000億円、対する譲渡額は約1,400億円
・売却益と含み損益
【不動産売却益】
売却益ネット:154億円(前期比-86億円)
利益総額に対する割合:5.3%(前期比-3.4ポイント)

【含み損益】
含み損益:3.7兆円(前期比+0.4兆円)
含み損益率:20.9%(前期比+1.4ポイント)

2019年下期における不動産売却益(ネット)は、合計で154億円となり、大型売却のあった上期における急増値に比べると、約6割に減少しました。また、売却益を計上したのは、前期が約半数であったのに対し、約4割の銘柄となっています。全銘柄の当期利益総額に対する売却益割合は5.3%で、前期より3.4ポイント低下しました。

含み損益は、3.7兆円の含み益で、前期より0.4兆円アップ、含み益率も1.4ポイント上昇し、20%の大台を突破して20.9%になりました。保有物件の鑑定評価額上昇から導かれたものとみられ、引き続き全銘柄で含み益が出ています。

・ポートフォリオNOI利回り平均(対取得価格)
全銘柄:5.0%(前年同期比-0.1ポイント)
オフィス:4.6%(前年同期比+0.1ポイント)
住宅:5.5%(前年同期比横ばい)
商業:5.1%(前年同期比-0.2ポイント)
物流・インフラ:5.3%(前年同期比-0.1ポイント)
ホテル:6.2%(前年同期比-0.3ポイント)
ヘルスケア:5.9%(前年同期比+0.1ポイント)
複合・総合:4.9%(前年同期比-0.1ポイント)

ポートフォリオNOI利回りは、全銘柄平均で5.0%となり、前年同期より0.1ポイント低下しました。6.0%以上といった高い利回りの銘柄が減少したほか、5.0%未満の銘柄がやや増加しています。

セクター別にみると、平均値はおよそ小幅な変動にとどまっていますが、商業セクターが0.2ポイント低下し、5.1%となりました。特定銘柄のリニューアルによる賃料収入減少や費用の増加が影響したほか、都市型物件の取得増が押し下げ要因になったとみられています。

また、ホテルセクターは前年同期より0.3ポイント低下し、6.2%となりました。他のセクターとの比較では、なお最も高い利回りを記録していますが、訪日韓国人の減少やホテル供給の増加、災害発生の影響などを受けた賃料収入の減少といった要素で、低下につながっています。

・物件取得/譲渡額
物件取得額:約7,000億円
物件譲渡額:約1,400億円

【取得内訳】
物流施設:22%
オフィス:21%
ホテル:19%

【譲渡内訳】
オフィス:32%
商業施設:29%
住宅:27%

物件の取得・譲渡動向では、下期発表分の物件取得額が合計約7,000億円となり、このうち物流施設が22%で最多、次いでオフィスの21%、ホテルで19%などとなっていました。

一方、譲渡額については、合計で約1,400億円となり、上期の約2,000億円より減少、内訳ではオフィスが32%と最も多く、次いで商業施設の29%、住宅の27%などです。

・取得NOI利回り用途別平均
全用途:4.9%(前期比+0.4ポイント)
オフィス:4.3%
住宅:4.8%
商業:4.9%
物流:5.1%
ホテル:5.5%
ヘルスケア:4.8%
その他:5.1%

取得NOI利回りについては、全用途平均で4.9%となり、上期より0.4ポイント上昇しました。用途別でも、多くが上期よりアップ、5%前後の利回りになっています。オフィスはやや低めの4.3%、ホテルは最も高く5.5%でした。

・負債指標
LTV(出資総額ベース):46.9%(6月末比-0.1ポイント)
有利子負債平均利率:0.65%(6月末比-0.02ポイント)
平均残存年数:4.3年(6月末比横ばい)

・公募増資
件数:16件(前年同期比+2件)
調達額:2,172億円(前年同期比-204億円)
BPS変化率:+3.1%(前年同期比+1.8ポイント)

各種負債指標をみると、2019年12月末時点の出資総額ベースにおけるLTVは、平均46.9%で、6月末より0.1ポイント低下していました。有利子負債の平均利率は0.65%で、0.02ポイント低下しています。残存年数は変わらず、平均4.3年でした。

2019年7月~12月に実施された公募増資は16件で、前年同期より2件増加しましたが、全体に増資規模が縮小されたため、調達額では204億円のマイナスとなる2,172億円でした。これにより投資口価格が上昇、BPS変化率は平均+3.1%となり、前年同期より1.8ポイントアップして改善されています。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像は三井住友トラスト基礎研究所「J-REITレビュー 2019年下期」公開資料より)


▼外部リンク

株式会社三井住友トラスト基礎研究所 J-REITレビュー 発表資料
https://www.smtri.jp/market/jreit_review/

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