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【pickupニュース】20年2月都心大規模ビル空室率、微増も21カ月連続1%未満

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三幸エステートが最新のオフィスマーケットレポートを公開
三幸エステート株式会社は12日、2020年2月度の東京都心5区と全国主要都市の大規模ビル市況をまとめた「オフィスマーケットレポート」を公開しました。全国主要都市としては、大阪市、名古屋市、札幌市、仙台市、福岡市のデータをみることができます。

・調査用語定義
東京都心5区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大規模ビル:1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル
現空面積:現在テナント未入居で契約後すぐ入居可能な物件面積の合計
募集面積:統計日時点で公開されているテナント募集面積の合計

なお、この東京都心5区大規模ビルを対象とした調査における定義は上記の通りで、統計開始日は1994年1月1日となっています。

・マクロ経済動向
【実質GDP成長率予測】
2019年度:0.2%
2020年度:0.3%
2021年度:0.9%

【完全失業率】
2020年1月実測値:2.4%(前月比+0.2ポイント)
2019年度予測:2.4%
2020年度予測:2.3%
2021年度予測:2.3%

企業活動の状況から、オフィスレントに大きな影響を与える背景として、マクロ経済の動向を確認しておくと、まず株式会社ニッセイ基礎研究所の実質GDP成長率予測は、今回、下方修正されました。2019年度が0.2%となり、2021年度には0.9%へ上昇するものの、低い成長率にとどまっています。

2019年10~12月期が消費増税の影響などで大幅なマイナス成長となったこと、さらに現在発生している新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンドの低下、中国向け輸出の落ち込みなどが主な要因です。

新型コロナウイルス感染症をめぐっては、国内で広がる各種イベントの中止や外出自粛、多岐にわたるビジネス活動の停滞と消費の下押しが懸念されていることから、今後さらなる下方修正がなされる可能性もあります。

オフィスニーズとの直接的な関係性も深い完全失業率は、2020年1月の総務省による調査で、前月より0.2ポイント悪化し、2.4%となりました。厚生労働省の発表する有効求人倍率や、その先行指標である新規求人倍率も前月比で悪化しており、主要雇用指標にそろって悪化傾向がみられているため、やや注意が必要な状勢となっています。

・都心大規模ビルの空室動向
空室率:0.50%(前月比+0.02ポイント)
現空面積:34,970坪(前月比+1,388坪)

東京都心5区大規模ビルの2020年2月における空室率は、前月より0.02ポイント上昇し、0.50%となりました。0.5%のラインも下回った先月に比べると微増したものの、21カ月連続で1%未満のごく低い水準を続けており、引き続き旺盛なオフィスニーズがみられています。

過去最低水準での小幅な動きを続ける空室率は、市場の強い品薄感にもつながっており、新規募集床で現在のテナントが実際に退去するより先に、後継テナントが内定するケースが多くなっていることも報告されました。

現空面積は前月より1,388坪増加し、34,970坪になっています。増加幅は小さく、3カ月連続の4万坪未満でした。

既存ビルでの賃料引き上げがより顕著に
・都心大規模ビルの募集動向
募集賃料:坪あたり32,038円(前月比+305円)
募集面積:282,503坪(前月比-2,688坪)

2020年2月の東京都心5区大規模ビルにおける募集賃料は、共益費込みの平均で坪あたり32,038円となり、前月より305円上昇しました。ごく低い空室率と旺盛なニーズによる需給バランスの引き締まりから、緩やかな賃料上昇傾向が続いており、7カ月連続のプラスで、32,000円台に突入しています。

主に既存ビルで、賃料条件を見直し、引き上げる動きが続いており、全体平均を押し上げているようです。一方、すでに高額帯にある賃料の物件では、引き下げに切り替える動きも出始めており、高騰する賃料に天井感もみられてきています。

募集面積は前月より2,688坪減少し、282,503坪となりました。前月に約8万坪と、まとまった増加をみせた募集面積ですが、こちらも少しずつ消化が進んでいます。

・募集面積の既存ビル/建築中ビル内訳推移
2017年:徐々に募集面積が減少、建築中ビル1に対し既存ビル2.5~3程度
2018年:30万坪超前後で推移、建築中ビルの割合が増加して年末には半々水準
2019年:募集面積が減少、既存ビルは横ばいも建築中ビル減少で1対2程度に
2020年:建築中ビルの増加で募集面積増、およそ半々水準

・今後の供給見通し
2021年:少なめ
2022年:少なめ
2023年:26万坪超の大量供給

募集面積について、その全体推移と既存ビル、建築中ビルの占める割合をみていくと、2017年から18年にかけては徐々に募集面積全体が減少、33万坪超あったところから、27万坪程度まで少なくなりました。

建築中ビルと既存ビルの両方が消化されたものの、やや建築中ビルの減少が大きく、当初の建築中ビル1に対し、既存ビル2.5程度であった割合は、1対3程度にまで広がりました。

続く2018年内は、募集面積が再び増加して30万坪超で推移するようになり、ごく緩やかな減少もみられましたが、ほぼ横ばいで19年に向かいます。内訳では既存ビルの減少が進んで、建築中ビルが増加、およそ半々(1対1)という水準になっています。

その後、2019年は募集面積全体が減少傾向となり、20万坪に近づいていきました。主に膨らんだ建築中ビルの消化が進んで、既存ビルは横ばいとなっています。

こうした中、2020年に入ってからは、減少した建築中ビルの募集面積が約8万坪増加、再び募集面積合計が30万坪弱になる動きがみられました。大量供給が見込まれている2023年竣工予定のビルが着工時期を迎えたことが主因です。

今後の供給見通しとして、2021年、2022年は新規が比較的限定的で、すでにテナント誘致の目途が立っている物件も多いことから、目下の募集状況における注目ポイントは、やはり26万坪超という大量供給が予想される2023年となっています。

新型コロナウイルス感染症の国内外における広がりを受けた経済打撃は大きく、オフィスニーズへの波及も懸念されます。良好な兆しとされてきた景気や、低い失業率の売り手市場だった雇用環境に変化が生じ、下振れが進んだ場合、これまでのオフィス市場でみられた堅調な推移にも変調が訪れる可能性は否定できないでしょう。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像は三幸エステート「オフィスマーケットレポート 東京都心5区大規模ビル 2020年3月号」公開資料より)


▼外部リンク

三幸エステート株式会社 「オフィスマーケットレポート 2020年3月号」資料提供ページ
https://www.sanko-e.co.jp/data/report/202003

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