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【pickupニュース】19年度上期の不動産売買、取引総額で微減に

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未来都市総研が19年度上期の市場売買実績などレポートを公開
みずほフィナンシャルグループの不動産専門シンクタンクである株式会社都市未来総合研究所は24日、2019年12月号の「不動産トピックス」として、2019年度上期の国内不動産売買実績データや、J-REITの含み損益動向などをまとめた最新市況レポートを公開しました。

・国内不動産売買の動向
2019年度上期総額:1兆7,242億円(前年同期比-2.0%)
2019年度上期取引件数:375件(前年同期比+1.1%)

2019年度上期(2019年4~9月期)における国内不動産の売買総額は、当事者による情報開示や報道などで公表されたものを合計した結果、約1兆7,242億円と推計されました。前年同期より344億円、率にして2.0%の減少となっています。

下期の伸びがとくに顕著で、年度を通じても総額が伸びた2017年度以降、総額は低下傾向ですが、2018年度上期は前年同期比で10.4%の減少、同年下期は前年同期比38.5%であったため、今期は減少幅が大きく縮小されたといえるでしょう。

19年度上期の売買取引件数は、375件を数え、前年同期比で1.1%の増加となりました。2期連続で減少となっていた2018年度から、今回、微増傾向へ転じています。

昨今は不動産市場に流入する新規物件がごく限定的となり、J-REITや不動産会社、外資系法人などの不動産セクター内で物件が流通する循環構造が定着し、結果的に売買総額や件数の量的変動が小さくなる傾向がみられています。

世界金融危機による停滞から市況回復となった後の2014年度以降では、変動はプラスマイナス25%内に収まり、1,000億円クラスの一括売買や都心部大規模ビル売買など、大型案件が重なった時期と、その次の反動期を除けば、増減率は10%以内の期が多くなっているようです。

・価格ランク別にみた取引件数の推移
【上期】
100億円以上の大型取引:40件前後で推移
100億円未満の取引:330件前後で推移

【下期】
規模にかかわらず件数変動が大
直近は減少傾向

1件あたりの売買取引額が100億円以上の案件を大型取引とすると、2017年度以降の上期では、この大型取引はほぼ40件前後で推移しています。残る100億円未満の取引については、330件前後の推移となり、上期は概ね安定的な動きになっていました。

一方、下期は大型取引もそれ未満の取引も件数変動が大きく、乱高下する傾向がみられます。また、15年度から16年度に増加して以降、最近は減少傾向が目立っており、これが年度通期の売買実績を押し下げている主な要因と考えられました。

・価格ランク別にみた売買額の推移
2017年度上期100億円以上:約1.3兆円
2017年度上期100億円未満:約0.6兆円
2017年度下期100億円以上:約1.9兆円
2017年度下期100億円未満:約1.1兆円
2018年度:減少傾向
2019年度上期100億円以上:約0.95兆円
2019年度上期100億円未満:約0.75兆円

2007年度以降について、価格ランク別に売買額推移をみると、取引1件あたり1,000億円といった超大型取引の多寡から、100億円以上の大型取引売買額は変動が大きく、2007年度下期、2014年度下期、2017年度下期などがとくに突出した高さとなっていました。

直近で売買額が伸びた2017年度は、賃貸住宅の一括売買などが多かったことから、総額が上昇、続く2018年度は反動もあり、減少基調となっています。2019年度上期もこの減少傾向が続いており、総額に大きな伸びはみられていません。

しかし100億円未満の大型未満案件の件数は横ばいで、1件あたりの平均価格は上昇傾向にあることから、大型未満案件に限定した総額では、2017年度の上期に比較してもやや増加となりました。

外資系法人の存在感が再びアップ
・買主セクター別不動産取得額
J-REIT:6,358億円
外資系法人:2,794億円
不動産・建設:2,418億円

買主の業種セクター別で2019年度上期の取引額を分析すると、最多はJ-REITの6,358億円でしたが、これに続いて外資系法人が2,794億円となっていました。3位は不動産・建設の2,418億円です。外資系法人は2017年度上期に、J-REITなども上回ってトップの不動産取得額を記録して以降、減少傾向で順位も落としていましたが、今期は増加に転じ、2位に浮上しています。

・売主セクター別不動産売却額
外資系法人:4,133億円
一般事業法人等(金融法人等含む):3,229億円
不動産・建設:2,504億円

取得額を伸ばした外資系法人ですが、売却額も増加していました。売主の業種セクター別分析によると、今期トップが外資系法人で4,133億円を売却しています。2位は一般事業法人等の3,229億円、3位は不動産・建設の2,504億円でした。

今期公表分で、外資系法人が売却した物件の買主は、外資系ファンドとJ-REITで大多数が占められ、多くは同系列間取引だったとも伝えられています。

・複数物件一括売買と単一物件売買の売買金額
【全体】
2017年度上期の複数一括:31.8%(約6,238億円)
2019年度上期の複数一括:約2,200億円
2019年度上期の単一売買:約1兆5,000億円

【一括売買の金額割合】
2019年度上期全取引比率:約14%
2019年度上期大型取引比率:約19.0%

2013年度下期以降、複数物件を一括して売買する取引のケースが増加しており、常に2,000億円以上を記録するペースで推移してきています。とくに賃貸マンションの一括売買が多数重なった2017年度上期には、一括売買総額が6,238億円、売買総額全体の31.8%を占めるまでになりました。2019年度上期も、複数一括売買の額は約2,200億円みられます。

全取引における一括売買の金額割合は、約14%ですが、これを100億円以上の大型取引に限定すると、19.0%に上昇しました。それぞれの比率は2018年度下期からほぼ横ばいで、大型取引に占める一括売買の割合が大きい傾向が続いているといえます。

・一括売買の主体
【買主】
外資系法人
SPC・私募REIT等

【売主】
外資系法人
不動産・建設

こうした複数物件の一括売買がどういった業種セクターの取引主体で行われているかを分析すると、買主は主に外資系法人とSPC・私募REIT等で、とくに外資系法人は2014年度以降、他のセクターより上位の取得額を常に記録してきていました。

売主をみても、やはり外資系法人が目立ち、今期は不動産・建設もこれに続く売主主体となっていましたが、2014年度以降、売主の主なセクターとなっているのは、外資系法人という状況がおよそ継続されています。

・物件用途別不動産売買取引額
1位:オフィスビル(前年同期比+7.5%)
2位:物流施設(前年同期比+30.2%)
3位:住宅(前年同期比+79.4%)
4位:商業施設
5位:土地(遊休地、開発用地等)(前年同期比-67.3%)

物件用途別に不動産売買取引額をみると、2019年度上期に最多となったのはオフィスビルで、前年同期より7.5%増加していました。また、2位には物流施設が前年同期比30.2%の増加でランクインしています。物流系J-REITによる取得が増えたことが影響しました。

前年同期比で増加幅が最大だったのは3位の住宅で、79.4%ものアップとなっています。7物件一括の約370億円取引や、18物件一括の約200億円が動いた取引など、賃貸マンションの一括売買が総額を押し上げています。

一方、5位となった土地の売買は、前年同期より67.3%と大幅に減少しました。前期比でも58.8%のマイナスになっています。公共等による大規模開発用地の入札売却が少なく、大型取引に該当する案件の公表分がゼロであったことが主因と報告されました。

・物件所在地圏域別不動産売買取引額
東京圏:約1兆円
大阪圏:4,082億円
名古屋圏:約400億円
その他:約3,000億円

物件の所在地が属する圏域別に売買取引額を集計すると、トップは東京圏ですが、2014年度下期をピークに低下傾向となっており、その水準は低めで推移しています。その一方、減少基調にあったその他の地方圏が、今回やや増加となりました。

今期は総額としてわずかに下げたものの、全体における存在感を増し、活況を維持しているのは大阪圏です。世界金融危機以降で最も高水準の推移になっており、物流施設や賃貸マンションの一括売買など、大型取引がみられました。

・物件の利用形態別不動産売買取引額
賃貸不動産:約1兆3,000億円
その他の業務用不動産:約2,600億円
本社・支店・営業所等:約800億円

売買された物件を、売買前の利用形態別で分析・集計した取引額は、賃貸用不動産が最多であるものの、その額は2012年度下期から2014年度にかけて増加、2017年度下期に大きなピークを迎えてからは、大きく低下し、低調のまま横ばいとなっています。

代わって自治体らによる分譲工業団地や太陽光発電所などが含まれる、その他の業務用不動産の売買取引額が増加しており、動向として注目されます。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像は都市未来総合研究所「不動産トピックス 2019年12月号」公開資料より)


▼外部リンク

株式会社都市未来総合研究所 不動産トピックス資料提供ページ
http://www.tmri.co.jp/report_topics/index.html

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