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【pickupニュース】建設下請取引等実態調査、全適正業者は9%

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国土交通省らが建設下請の取引実態調査を実施
国土交通省と中小企業庁は24日、2019年度の建設業者を対象とした「下請取引等実態調査」を実施し、その結果をとりまとめて公開しました。建設業法の規定に基づき、工事における下請取引の適正化を図るべく、毎年行われている調査で、不適正取引が認められた業者には、指導票が発送されています。

今回の調査は、不動産建設業者14,000社が対象とされ、郵送による書面調査で、11,258業者、80.4%から回答を得ています。なお、集計にあたっては、回収業者のうち、すでに事業活動を終了した103の業者を除き、11,155業者で行われました。

調査実施期間は2019年7月10日~9月13日、取引対象期間は2018年7月1日~2019年9月13日で、元請・下請業者間や発注者・元請間の取引実態をはじめ、消費税転嫁に関する状況や技能労働者への賃金支払状況についてなども調査対象となっています。

・全項目の現況概要
指導必要のある不適正回答業者数:8,777業者
全適正回答業者数:868業者
適正回答業者率:9.0%(前年度比+2.9ポイント)

不動産建設工事を下請に発注したことのある建設業者は9,645業者で、そのうち、建設業法に基づく指導が必要と判断された不適正回答が1つでも見受けられた業者は8,777業者でした。全て適正だったのは868業者で、全体の9.0%となっています。

前年度に比べると、全て適正だった業者の割合が2.9ポイント増加し、改善されたといえますが、依然1割を切っていることから、問題の多い状況は変わっていないようです。

・指導対象調査項目別適正回答率
見積依頼方法:81.1%(前年度比-2.6ポイント)
下請代金の決定方法:98.3%(前年度比-0.2ポイント)
見積提示内容:19.5%(前年度比横ばい)
見積日数(500万円未満):98.2%(前年度比横ばい)
見積日数(5,000万円未満):72.9%(前年度比-0.3ポイント)
見積日数(5,000万円以上):76.3%(前年度比+1.9ポイント)
契約方法:62.2%(前年度比+0.3ポイント)
契約条項:48.6%(前年度比+2.4ポイント)
契約締結時期:98.0%(前年度比+0.3ポイント)
安全経費を含めない契約締結の有無:98.7%(前年度比-0.3ポイント)
追加・変更時の契約締結の有無:81.4%(前年度比-1.8ポイント)
追加・変更時の見積依頼方法:75.2%(前年度比+1.1ポイント)
追加・変更時の契約方法:81.6%(前年度比-0.6ポイント)
追加・変更契約の締結時期:75.5%(前年度比+2.4ポイント)
引き渡し申出からの支払期間:98.2%(前年度比+0.3ポイント)
注文者から支払を受けてからの支払期間:88.6%(前年度比+0.1ポイント)
支払手段:92.6%(前年度比+0.9ポイント)
手形期間:94.2%(前年度比+1.0ポイント)
手形の現金化等にかかるコスト負担協議:37.2%(前年度比+4.6ポイント)
赤伝処理:72.2%(前年度比+0.4ポイント)
帳簿備付:88.5%(前年度比+0.3ポイント)
施工体制台帳の整備(公共工事):93.6%(前年度比+0.5ポイント)
施工体制台帳の整備(民間工事):88.0%(前年度比+0.6ポイント)
施工体制台帳の添付書類(公共工事):63.8%(前年度比+1.6ポイント)
施工体制台帳の添付書類(民間工事):49.1%(前年度比+1.5ポイント)
施工体系図(公共工事):91.0%(前年度比+0.2ポイント)
施工体系図(民間工事):74.1%(前年度比+0.3ポイント)
下請負人に対する指導:81.6%(前年度比-0.8ポイント)

是正措置の指導対象になる詳細な項目別で適正回答率をみると、28の調査項目中、19の項目で前年度より適正率が増加、2項目が横ばいで、残る7項目が減少し、悪化となっていました。全体としてやや改善傾向とみられるものの、項目により適正回答率の値はかなりばらつきがあります。

「下請代金の決定方法」や「契約締結時期」、「安全経費を含めない契約締結の有無」、「引き渡し申出からの支払期間」などについては、適正回答率が98%を超え、概ね守られているといえますが、「見積提示内容」は19.5%と、重要な項目にもかかわらず、適正率がきわめて低くなっていました。「契約方法」や「契約条項」も5~6割と低い傾向にあります。

「見積提示内容」と「契約条項」、「手形の現金化等にかかるコスト負担協議」、「施工添付台帳の添付書類(民間工事)」の4項目は適正回答率が5割を切り、遵守されていないケースの方が多くなっているなど、早急な改善が必要と考えられました。

知事・一般建設業者の契約方法は不適正率がとくに高い傾向
建設業者のタイプ別では、知事・一般建設業者での適正回答率の低い傾向が目立っており、とくに「契約方法」で約6割が不正にあたっていたことも報告されました。このうち、18.4%が今なお「メモまたは口頭による契約」を行っている状況と判明し、是正が必要とされています。

・元請人からのしわ寄せ
不当なしわ寄せを受けた経験あり:1.3%(前年度比+0.1ポイント)
最多内容:下請代金の不払い(15.3%)

・発注者からのしわ寄せ
不当なしわ寄せを受けた経験あり:0.9%(前年度比-0.5ポイント)
最多内容:発注者側の設計図面不備・不明確、設計積算ミス(19.8%)

取引における実態調査では、下請負人で元請負人から「不当なしわ寄せを受けたことがある」としたのは1.3%の業者で、ほぼ前年度並みですが0.1ポイント増加していました。内容で最も多いのは「下請代金の不払い」で15.3%になっています。

一方、元請負人で発注者や施主から「不当なしわ寄せを受けたことがある」と回答したのは、0.9%の業者にとどまり、前年度より0.5ポイント減少していました。内容としては、「発注者側の設計図面不備・不明確、設計積算ミス」が最も多く、約2割でした。

・標準見積書や請負代金内訳書の活用状況
元請負人から下請負人への標準見積書交付働きかけ:64.8%(前年度比+0.9ポイント)
下請負人から元請負人に対する標準見積書交付割合:68.9%(前年度比+1.2ポイント)
下請負人から元請負人に対する請負代金内訳書の全交付割合:37.1%

法定福利費をきちんと内訳まで明示した見積書である標準見積書や請負代金内訳書をどの程度活用しているか、調べた結果では、元請負人からの標準見積書交付に関する働きかけの実施割合が前年度より0.9ポイントアップし、64.8%、実際の下請負人からなされた標準見積書交付ケースは、全体の68.9%で、前年度より1.2ポイントアップしていました。

一方、下請負人から元請負人に対し、請負代金内訳書を全ての工事で交付しているケースは37.1%と4割未満にとどまっています。

・技能労働者への賃金支払
賃金水準の引き上げを実施または実施予定:83.9%(前年度比+1.2ポイント)
引き上げ最多理由:周りの実勢価格が上がり必要な労働者が確保できないから(51.2%)
引き上げない最多理由:経営の先行きが不透明で踏み切れない(44.5%)

技能労働者への賃金支払状況では、賃金水準を引き上げた、または引き上げる予定があるとした業者が83.9%と、前年度より1.2ポイント増加していました。賃金水準を引き上げる理由として最も多かったのは「周りの実勢価格が上がったことで、引き上げなければ必要な労働者が確保できないため」というもので51.2%を占め、深刻化を増す人員不足など、必要に迫られた結果であることがうかがわれます。

逆に賃金水準を引き上げない理由としては、「経営の先行きが不透明で引き上げに踏み切れない」が最も多く、44.5%になりました。全体の足元としては活況とされる建設業界ですが、先行きに対する不透明感も強まっているようです。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

国土交通省 プレスリリース
http://www.mlit.go.jp/

国土交通省「下請取引等実態調査 2019年度」詳細結果資料提供ページ
http://www.mlit.go.jp/

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