収益物件
シェアハウスのメリットは、一般的な賃貸住宅よりも生活コストが低い点であることから、シェアハウスへの投資も増えていますが、2018年には「シェアハウス投資」が社会問題化しました。シェアハウス投資が問題化した背景について迫っていきましょう。
シェアハウス投資問題が発生した原因を簡潔に説明すると、不動産会社の「スマートデイズ」が女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたものの、最終的に運営に行き詰まってしまったことによるものです。
「かぼちゃの馬車」の物件は、オーナーに対してサブリース方式で販売されました。オーナーにはスマートデイズからの保証賃料から管理費を引いた額が支払われ、オーナーはその支払額から物件のローンを支払う流れとなっていました。
しかしながら、かぼちゃの馬車の入居者数は伸び悩み、スマートデイズは契約時に提示していた保証賃料が支払えない事態となり、オーナーは物件のローンの支払いができない状態となってしまいます。
オーナーたちはスマートデイズに対して損害賠償を請求しましたが、経営的に行き詰まっていたスマートデイズは、最終的に破産することとなりました。
シェアハウスの特徴としてあげられることは、居住者が共同で過ごせるスペースが確保されていることですが、かぼちゃの馬車には共同で過ごせるスペースが確保されていない状況でした。
オンナを刺激するニュースブログ「cyzo woman(サイゾーウーマン)」では、かぼちゃの馬車に人が集まらない理由として、女性専用シェアハウスの居住者の声を取り上げています。
つまり、かぼちゃの馬車は、シェアハウスとしての魅力に乏しく、入居者が集まりにくかったことから、結果として賃料の減少につながり、オーナーに保証賃料が支払えない状況になったのです。
かぼちゃの馬車の物件を購入する際は、スマートデイズと提携していた「スルガ銀行」のローンを利用する形となりましたが、スルガ銀行において問題とされていたのは、融資担当者に対するノルマが厳しいこと、そして、融資の段階で書類の改ざんが行われていた点です。
融資書類の改ざんについて、2018年4月、朝日新聞は以下のように報じました。
シェアハウス物件の販売を増やしたいスマートデイズと、融資のノルマを達成したいスルガ銀行との思惑が一致し、オーナーに対し、過剰ともいえる融資が行われることとなりましたが、スマートデイズのシェアハウス運営とスルガ銀行の融資姿勢がずさんであったことが、シェアハウス投資問題を拡大させたといえるでしょう。
不動産投資においては、利回りだけに着目するのではなく、需要が見込める物件であるかどうか、周辺の相場はどのようになっているかなど、多角的に状況を見据えた上で判断することが重要です。
(画像は写真ACより)
2019/04/23
新たな賃貸形式「シェアハウス」への投資が問題化したのはなぜ?
共同で過ごせるスペースが魅力の「シェアハウス」
シェアハウスは、部屋は個別に設けられているものの、基本的には共同で生活するタイプの賃貸住宅で、居住者がお互いに過ごせるスペースである「ラウンジ」があるほか、キッチンや浴室、トイレは共用で利用します。シェアハウスのメリットは、一般的な賃貸住宅よりも生活コストが低い点であることから、シェアハウスへの投資も増えていますが、2018年には「シェアハウス投資」が社会問題化しました。シェアハウス投資が問題化した背景について迫っていきましょう。
シェアハウス問題の経緯について
はじめに、シェアハウス投資問題の経緯についてみていくことにします。シェアハウス投資問題が発生した原因を簡潔に説明すると、不動産会社の「スマートデイズ」が女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたものの、最終的に運営に行き詰まってしまったことによるものです。
「かぼちゃの馬車」の物件は、オーナーに対してサブリース方式で販売されました。オーナーにはスマートデイズからの保証賃料から管理費を引いた額が支払われ、オーナーはその支払額から物件のローンを支払う流れとなっていました。
しかしながら、かぼちゃの馬車の入居者数は伸び悩み、スマートデイズは契約時に提示していた保証賃料が支払えない事態となり、オーナーは物件のローンの支払いができない状態となってしまいます。
オーナーたちはスマートデイズに対して損害賠償を請求しましたが、経営的に行き詰まっていたスマートデイズは、最終的に破産することとなりました。
シェアハウスとしての魅力が感じられない
それでは、なぜシェアハウスの問題が拡大してしまったのでしょうか。その背景としてあげられることは、「かぼちゃの馬車」の物件自体が、シェアハウスとして質が低いことがあげられます。シェアハウスの特徴としてあげられることは、居住者が共同で過ごせるスペースが確保されていることですが、かぼちゃの馬車には共同で過ごせるスペースが確保されていない状況でした。
オンナを刺激するニュースブログ「cyzo woman(サイゾーウーマン)」では、かぼちゃの馬車に人が集まらない理由として、女性専用シェアハウスの居住者の声を取り上げています。
報道でもよくいわれていますが、入居者たちが集う『共有部分』がほとんどないという点が気になりました。(中略)実際に、交流目的でシェアハウスに住む人も多いから、そういう人にはかぼちゃの馬車は選ばれないですよね
(引用:cyzo woman)
(引用:cyzo woman)
つまり、かぼちゃの馬車は、シェアハウスとしての魅力に乏しく、入居者が集まりにくかったことから、結果として賃料の減少につながり、オーナーに保証賃料が支払えない状況になったのです。
金融機関による貸し出しがずさん
次に、シェアハウス投資問題が拡大した背景として、金融機関による貸し出しがずさんであったことがあげられます。かぼちゃの馬車の物件を購入する際は、スマートデイズと提携していた「スルガ銀行」のローンを利用する形となりましたが、スルガ銀行において問題とされていたのは、融資担当者に対するノルマが厳しいこと、そして、融資の段階で書類の改ざんが行われていた点です。
融資書類の改ざんについて、2018年4月、朝日新聞は以下のように報じました。
スルガ銀行はシェアハウス建設資金の多くを融資してきた。融資の可否を審査するための書類は貯蓄や所得が水増しされ、融資条件に合うように見せかける改ざんが繰り返されていた。(引用:朝日新聞)
シェアハウス物件の販売を増やしたいスマートデイズと、融資のノルマを達成したいスルガ銀行との思惑が一致し、オーナーに対し、過剰ともいえる融資が行われることとなりましたが、スマートデイズのシェアハウス運営とスルガ銀行の融資姿勢がずさんであったことが、シェアハウス投資問題を拡大させたといえるでしょう。
不動産投資においては、利回りだけに着目するのではなく、需要が見込める物件であるかどうか、周辺の相場はどのようになっているかなど、多角的に状況を見据えた上で判断することが重要です。
(画像は写真ACより)
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