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【pickupニュース】18年のオフィス売買額、上半期が急増も下半期は低調に

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都市未来総合研究所が市況分析の最新レポートを公開
みずほフィナンシャルグループにおける不動産専門のシンクタンク、株式会社都市未来総合研究所は17日、2019年4月号の「不動産トピックス」を公開、最新の不動産市況を分析してまとめた資料データの提供を開始しました。今回は都心5区の通勤圏に関する動向と、2018年のオフィスビル売買動向を中心に解説されています。

・都心通勤者数の変化
都心に常住:約32万人(1995年比約+1万人)
その他18区に常住:約101万人(同比約-8万人)
都下に常住:約30万人(同比約-5万人)
他県に常住:約132万人(同比約-17万人)

2015年の国勢調査で、ビジネス集積地となっている千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の都心5区に就業する15歳以上の通勤者は約294万人で、1995年時に比べ約29万人の減少となっています。就業者数そのものの減少も1割近くに及んでいますが、常住地別の内訳にも変化がみられていました。

「都心に常住」する人は2015年の最新調査で約32万人となり、1995年より約1万人増え、全体に占める割合を伸ばしていました。「その他の18区に常住」し、通勤する人は約101万人で、1995年より8万人減少、「都下に常住」する人も5万人減って、約30万人となっています。

「他県に常住」して通勤する人は約132万人で、1995年から比べると約17万人の減少でした。都下や他県から通勤する人の構成比が低下し、職住近接の傾向が進んで、通勤圏が狭くなっているとみられます。

・距離帯別都心通勤者数の変化
0~10キロ:約108万人(1995年比-4%)
10~20キロ:約73万人(同比-3%)
20~30キロ:約59万人(同比約-14%)
30~40キロ:約32万人(同比-20%超)
40~50キロ:約11万人(同比-20%超)
50~60キロ:約3万人(同比微減)
60~70キロ:約1万人(同比微減)
70~80キロ:約1万人(同比横ばい)
80キロ以上:約1万人(同比約+40%)

都心5区の地理的中心が元赤坂2丁目付近にあることをもとに、ここを起点とした直線距離から、距離帯別に都心通勤者数の動向を分析すると、2015年の場合、0~10キロ未満の距離圏から通勤する人は約108万人で、1995年より4%減少していました。10~20キロ圏内は約73万人で、3%の減少です。

いずれも小幅な減少にとどまっていますが、20~30キロ圏内になると14%程度の減少になり、30~40キロ、40~50キロ圏内では20%超の大幅減になりました。これらの圏内で例外的に増加したのは、守谷市や千葉市中央区、印西市、千葉市緑区、つくばみらい市などとなっています。いずれも新規宅地開発や鉄道新線の開通がみられたエリアで、こうした要素が通勤者数増加を招いたと考えられました。

絶対数は少ないものの、80キロ以上遠方からの都心通勤者は、2015年になって40%近い増加となっていました。県庁所在地などで高い割合の増加が確認されており、高崎市では1995年より42%増加、宇都宮市で18%、前橋市で35%、100キロ超の水戸市でも24%の増加がみられています。鉄道網の充実に加え、1998年に通勤手当の非課税限度額が月10万円にまで引き上げられたことで、新幹線や在来特急が利用しやすくなったことが影響したようです。

2016年には、さらにこの限度額が月15万円にまで引き上げられ、直近では遠距離通勤者に対する補助金制度も首都圏の一部自治体で導入されているため、全体としては職住近接化が進んでいるものの、一部では遠距離通勤層の拡大も発生している可能性があると指摘されました。

オフィスビル売買は品薄で中小ビル取引額が増加
・2018年のオフィスビル売買動向
国内年間売買額総計:1兆4,900億円(前年比-6.5%)
上半期合計:9,500億円(前年比+42.4%)
下半期合計:5,400億円(前年比-41.6%)

2018年に公表された国内のオフィスビル売買額は、年間合計で1兆4,900億円となり、前年に比べると約1,000億円減少、6.5%のマイナスになりました。

半期別では、上半期に9,500億円と前年を42.4%上回る売買があった一方、下半期は5,400億円と低調で、前年同期に比べ41.6%もの大幅減少を記録しています。この下半期の値は、2013年以降の半期ベースで最低ともなっていました。

・セクター別売買額
【買主上半期】
J-REIT:約2,900億円
SPC・私募REITなど:約2,800億円
不動産・建設:約800億円
その他事業法人:約800億円
公共など・その他:約100億円
外資系法人:約2,600億円

【買主下半期】
J-REIT:約2,700億円
SPC・私募REITなど:約500億円
不動産・建設:約100億円
その他事業法人:約1,400億円
公共など・その他:約100億円
外資系法人:約900億円

【売主上半期】
J-REIT:約500億円
SPC・私募REITなど:約800億円
不動産・建設:約1,500億円
その他事業法人:約2,000億円
公共など・その他:約400億円
外資系法人:約4,700億円

【売主下半期】
J-REIT:約450億円
SPC・私募REITなど:約1,300億円
不動産・建設:約2,700億円
その他事業法人:約600億円
公共など・その他:約100億円
外資系法人:約700億円

セクター別に取得額、売却額をそれぞれ上半期、下半期でみると、上半期は利益確定が目的とみられる複数の売却が続き、外資系法人が約4,700億円と急伸、前年同期比で214.8%の増加となるなど、大きな動きがありました。外資系法人は上半期の取得額も高く、前年同期比で28.3%の増加になっています。

下半期に入ると、外資系法人は取得額で前年同期より69.8%の減少、売却額でも30.2%の減少と、急速に低下しました。買主取得は、上半期に比べて低下したセクターが多く、その他事業法人を除いて減少しています。SPC・私募REITなどの取得額は、前年同期比で79.1%の減少にもなっていました。売却では、不動産・建設による額が伸びています。

外資系法人を中心とする下半期の取得額大幅減は、市場の物件品薄感に加え、利回りを追求するオポチュニティ系投資資金では物件の利回り低下で取得が難しくなったこと、中国系資金では当局による海外不動産投資への規制強化がみられたことなどが要因として挙げられています。

・物件規模別売買動向
中小ビル:約3,600億円(前年比+9.1%)
大型ビル:約4,900億円(前年比-31.8%)

物件規模別の売買動向では、大型ビルの年間売買額が約4,900億円で前年より31.8%の減少になったのに対し、中小ビルは約3,600億円と、3年ぶりに増加、前年比で9.1%のアップとなっていました。

不動産価格が高騰し、利回りが低下、品薄感が広がる中で、大型ビルに比べ利回り水準が高い傾向にある中小ビルの売買が進んだとみられます。

買主セクター別では、J-REITによる中小ビルの取得額が前年比で115.4%増と、とくに顕著な増加をみせていました。J-REIT以外のセクターは微増または減少傾向になっているため、J-REITの動きが中小ビル売買額の増加を牽引したと考えられました。しかし大型ビルについては、J-REITによる取得も現象しており、前年比で10.1%のマイナスとなっています。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像は都市未来総合研究所「不動産トピックス2019年4月号」公開資料より)


▼外部リンク

株式会社都市未来総合研究所 「不動産トピックス」資料提供ページ
http://www.tmri.co.jp/report_topics/index.html

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