収益物件
限られた敷地の価値を最大限に活かしたり、住まいとしての空間や基本性能としては、理想的な高いグレードの戸建て住宅たるスタイルを実現・維持させたりすることができ、大きな負担となる住宅ローンの返済には、家賃収入を充てることができるため、リスクも少なくお得、このかたちでなければ手が届かなかったマイホームプランも実現できるとされているのです。
しかし魅力的と思われる一方、そんなに上手くいくものなのか、他人が住む賃貸仕様のスペースと、居住スペースは本当に無理なく共存させられるのかなど、気になる点が多いという方も少なくないでしょう。そこで、今回はこうした賃貸併用住宅の実情と、失敗しないポイントについて解説していきたいと思います。

相続した土地として面積が限られている場合や、より地価が高い都心部などの場合は、3階以上の建築物とし、最上階と2階などその下の階の一部をオーナー居住用に、それ以外を賃貸スペースに区切るケースも多くなっています。
一般的なマイホームに比べると、住宅としてのサイズは大きめで、建築コストも高いものとなりますが、賃貸仕様の戸数がある程度確保できている方が収支の安定につながることから、3~4戸以上を作るプランが標準的です。
賃貸管理については、管理会社に一括して委託している人が多く、建築物の所有者として“オーナー”になりますが、入居者募集や細かな契約の締結・管理、家賃の回収、トラブル対応など、不動産の専門知識も要求される運用面の事柄について、自身が何かをするということはなく、業者への手数料となる業務委託料を差し引いた家賃収入分を得ているケースがほとんどとなっています。
賃貸併用住宅の場合、マイホームそのものが家賃収入としてのお金を生んでいくため、その分でローン返済額を賄えるケースや、プラスアルファの利益を出せるケースもあり、ローン完済後により資産価値の高い邸宅として保有したり、子どもに残したりすることができるメリットがあります。
第2に、一定の条件を満たすことで、より有利なローンを利用できるというメリットも挙げられます。通常、賃貸アパートやマンションを建築する場合、事業ローンやアパートローンなど、投資用のローンを組む必要があり、借入に際しての審査も厳しくなるほか、短期かつ高金利になりがちです。
しかし賃貸併用住宅では、賃貸物件であるとともに自宅住居でもありますから、建築面積のうち、オーナー居住部分が51%以上になっていれば、長期・低金利の有利な住宅ローンを利用することができるのです。
第3に、住宅ローン控除や物件売却時の控除など、税制面の有利さもあります。所得税として、家賃収入から減価償却費や固定資産税、ローンの利息、管理業務委託料など、必要諸経費を引いてマイナスになった場合、給与所得からの控除が受けられます。
また固定資産税や相続税において、賃貸併用住宅は小規模住宅地評価額の特例対象となるため、1戸あたりの評価額を200平米までならば6分の1に、それを超える場合でも3分の1に引き下げてもらえるなど、節税対策になるメリットがあります。
これに対しては、賃貸オーナーとしての自覚ある事前の入念なプランで対応するしかありません。実際に建築するエリアのニーズをよく分析し、それに合った仕様とするほか、信頼できる管理会社を吟味することも大切です。
空室リスクへの対処としてサブリースもあり、この方式では保証会社など専門業者が賃貸部分を一括で借り上げるかたちになります。サブリースでは、実際の入居者が決まらず空室となった場合でも、オーナーは保証会社に貸し出している契約であるため、一定の収入を変わらず得ることができます。
もちろんサブリース方式ならではのデメリットや注意点もありますから、それを活用することが向くかどうかは、別途よく検討しなければなりません。
デメリットの第2としては、住居の一部を貸し出すことによるストレスや、抱え込みかねないトラブルのリスクがあります。管理会社に委託することで、トラブルや手間はある程度カバーできますが、その分手数料(委託料)がかかることを計算に入れておかねばなりません。
基本的なトラブルはサポートされても、ソフト面として他人が身近に居住しているというストレスが問題になることもあるでしょう。出入口をはっきりと分けておくことや、防音対策、隣接部分のプライバシー配慮など、設計段階からの工夫を十分に施しておくことが大切です。オーナーの住みやすさは、賃貸入居者にとっても魅力となるでしょう。成功の秘訣として、ぜひ工夫を重ねてください。
第3のデメリットとしては、売却を望んだ際に、やや難しくなるケースが多いことが挙げられます。どうしても売らなくてはならない事情が発生した場合に、一般的な戸建て住宅より購入を希望する層が少なめとなることから、通常の評価より市場取引価格が安値になりがちなのです。
このメリットは非常に大きなものですが、収支として成立しないプランのままスタートしてしまうと、やはりビジネスとして破綻してしまいます。賃貸という経営や投資活動を兼ねているのだという意識をしっかりと持ち、入念なプラン設計と継続的な管理・運用を徹底していくことが重要です。
初期投資のコストだけでなく、リフォームなど維持メンテナンスにかかるコストも含め、無理のない収支計画と、魅力ある物件づくりになる設計を目指しましょう。税制面の情報・知識や、信頼できる管理会社などパートナーの選定も成功の鍵を握ります。甘い言葉に惑わされず、しっかり賢く検討を進めてください。
(画像は写真素材 足成より)
2019/04/03
最近話題の賃貸併用住宅ってどうなの?
賃貸とかけ合わせれば夢の邸宅マイホームが現実に?
近年、新たな住まいのかたちとして、賃貸併用住宅が注目を集めています。読んで字の如く、マイホームと賃貸住宅を1つの建築物として建てるもので、1つの住宅の中に、賃貸入居者のスペースを確保しながら、そのオーナーとして自らも居住する空間をとります。限られた敷地の価値を最大限に活かしたり、住まいとしての空間や基本性能としては、理想的な高いグレードの戸建て住宅たるスタイルを実現・維持させたりすることができ、大きな負担となる住宅ローンの返済には、家賃収入を充てることができるため、リスクも少なくお得、このかたちでなければ手が届かなかったマイホームプランも実現できるとされているのです。
しかし魅力的と思われる一方、そんなに上手くいくものなのか、他人が住む賃貸仕様のスペースと、居住スペースは本当に無理なく共存させられるのかなど、気になる点が多いという方も少なくないでしょう。そこで、今回はこうした賃貸併用住宅の実情と、失敗しないポイントについて解説していきたいと思います。

賃貸併用住宅の基本形
まず、実際に賃貸併用住宅がどのようなかたちで建築されているのか、実例をもとにご紹介しましょう。最も多いタイプとしては、小規模アパートのようなタイプの戸建て住宅を建て、1階部分に1Kなどコンパクトな賃貸仕様のスペースを3~4戸程度設けます。そして2階部分をオーナーの自宅居住スペースとして作り、余裕のある広さで住まうことを可能にします。相続した土地として面積が限られている場合や、より地価が高い都心部などの場合は、3階以上の建築物とし、最上階と2階などその下の階の一部をオーナー居住用に、それ以外を賃貸スペースに区切るケースも多くなっています。
一般的なマイホームに比べると、住宅としてのサイズは大きめで、建築コストも高いものとなりますが、賃貸仕様の戸数がある程度確保できている方が収支の安定につながることから、3~4戸以上を作るプランが標準的です。
賃貸管理については、管理会社に一括して委託している人が多く、建築物の所有者として“オーナー”になりますが、入居者募集や細かな契約の締結・管理、家賃の回収、トラブル対応など、不動産の専門知識も要求される運用面の事柄について、自身が何かをするということはなく、業者への手数料となる業務委託料を差し引いた家賃収入分を得ているケースがほとんどとなっています。
賃貸併用住宅のメリット
では、こうした賃貸併用住宅には、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。まず大きなメリットは、やはり家賃収入を得ることができる点です。一般生活者にとって、住居費は生涯の大きな支出であり、住宅ローンを長期にわたって返済していくことの負担の大きさとリスクは無視できぬ問題です。賃貸併用住宅の場合、マイホームそのものが家賃収入としてのお金を生んでいくため、その分でローン返済額を賄えるケースや、プラスアルファの利益を出せるケースもあり、ローン完済後により資産価値の高い邸宅として保有したり、子どもに残したりすることができるメリットがあります。
第2に、一定の条件を満たすことで、より有利なローンを利用できるというメリットも挙げられます。通常、賃貸アパートやマンションを建築する場合、事業ローンやアパートローンなど、投資用のローンを組む必要があり、借入に際しての審査も厳しくなるほか、短期かつ高金利になりがちです。
しかし賃貸併用住宅では、賃貸物件であるとともに自宅住居でもありますから、建築面積のうち、オーナー居住部分が51%以上になっていれば、長期・低金利の有利な住宅ローンを利用することができるのです。
第3に、住宅ローン控除や物件売却時の控除など、税制面の有利さもあります。所得税として、家賃収入から減価償却費や固定資産税、ローンの利息、管理業務委託料など、必要諸経費を引いてマイナスになった場合、給与所得からの控除が受けられます。
また固定資産税や相続税において、賃貸併用住宅は小規模住宅地評価額の特例対象となるため、1戸あたりの評価額を200平米までならば6分の1に、それを超える場合でも3分の1に引き下げてもらえるなど、節税対策になるメリットがあります。
デメリットとそれをカバーするためのポイントは?
こうしたメリットのある賃貸併用住宅ですが、もちろんデメリットもあります。デメリットの第1は、空室リスクです。建築コストがかかり、さらにもし家賃収入が安定して入らなければ、大きな借入金だけが残ってしまいます。この問題点は、まず誰もが気になるところでしょう。これに対しては、賃貸オーナーとしての自覚ある事前の入念なプランで対応するしかありません。実際に建築するエリアのニーズをよく分析し、それに合った仕様とするほか、信頼できる管理会社を吟味することも大切です。
空室リスクへの対処としてサブリースもあり、この方式では保証会社など専門業者が賃貸部分を一括で借り上げるかたちになります。サブリースでは、実際の入居者が決まらず空室となった場合でも、オーナーは保証会社に貸し出している契約であるため、一定の収入を変わらず得ることができます。
もちろんサブリース方式ならではのデメリットや注意点もありますから、それを活用することが向くかどうかは、別途よく検討しなければなりません。
デメリットの第2としては、住居の一部を貸し出すことによるストレスや、抱え込みかねないトラブルのリスクがあります。管理会社に委託することで、トラブルや手間はある程度カバーできますが、その分手数料(委託料)がかかることを計算に入れておかねばなりません。
基本的なトラブルはサポートされても、ソフト面として他人が身近に居住しているというストレスが問題になることもあるでしょう。出入口をはっきりと分けておくことや、防音対策、隣接部分のプライバシー配慮など、設計段階からの工夫を十分に施しておくことが大切です。オーナーの住みやすさは、賃貸入居者にとっても魅力となるでしょう。成功の秘訣として、ぜひ工夫を重ねてください。
第3のデメリットとしては、売却を望んだ際に、やや難しくなるケースが多いことが挙げられます。どうしても売らなくてはならない事情が発生した場合に、一般的な戸建て住宅より購入を希望する層が少なめとなることから、通常の評価より市場取引価格が安値になりがちなのです。
入念な検討、先を見据えた計画性が大切!
このように賃貸併用住宅には、メリット・デメリットの両面があります。貸しながら住むという選択をすることで、家賃収入を得られるようにし、通常ではなかなか手の届かないゆとりのある広さの住まいをマイホームとできるほか、土地を有効に活用したり、節税メリットを得たりすることも可能になります。このメリットは非常に大きなものですが、収支として成立しないプランのままスタートしてしまうと、やはりビジネスとして破綻してしまいます。賃貸という経営や投資活動を兼ねているのだという意識をしっかりと持ち、入念なプラン設計と継続的な管理・運用を徹底していくことが重要です。
初期投資のコストだけでなく、リフォームなど維持メンテナンスにかかるコストも含め、無理のない収支計画と、魅力ある物件づくりになる設計を目指しましょう。税制面の情報・知識や、信頼できる管理会社などパートナーの選定も成功の鍵を握ります。甘い言葉に惑わされず、しっかり賢く検討を進めてください。
(画像は写真素材 足成より)
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