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2020年に改正民法が施行 不動産仲介にはどんな影響がある?

約120年ぶりに民法が改正
2017年に「民法の一部を改正する法律」が成立しましたが、施行されるのは2020年4月1日からとなります。民法改正は約120年ぶりのこととなりますが、民法が改正されることによって、不動産仲介にも影響が及びそうです。

それでは、民法改正によって不動産仲介にどのような影響が及ぶのでしょうか。変更点を4つ取り上げ、詳しくみていくことにします。

「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更
1つめの変更点として、「瑕疵(かし)担保責任の変更」があります。民法の改正により、「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更となりました。

瑕疵担保責任とは、売主が不動産物件を販売した場合、見えない欠陥を指す「瑕疵」があった場合に、売主は瑕疵の部分を修繕する責任を負うことです。

また、契約不適合責任とは、契約内容に不備があった場合に責任を取ることを指しますが、瑕疵担保責任と異なる点は、見える部分に欠陥があった場合も売主は欠陥部分の修繕義務を負う義務が生じる点です。

このため、売主にとってはこれまでよりも責任が重くなる形となりますが、見方を変えれば、販売時に欠陥のない状態で販売すれば、これらの責任を負う可能性は少なくなると言えるでしょう。

法定利率が5%から3%に変更
2つめの変更点として、「法定利率の変更」があります。法定利率とは、当事者同士で利率を定めることが難しい場合に備え、法律によって定められた利率のことです。不動産仲介において法定利率が適用される例としては、滞納した家賃の延滞利息の利率があげられます。

法定利率は、民法改正前は5%に定められていますが、民法改正後は3%に引き下げられることになりました。なお、民法改正後の法定利率は常に一定ではなく、市場の金利変動に応じて3年ごとに見直されます。

法定利率が5%から3%に引き下げられる背景としては、市場の金利水準が低く、法定利率が高い水準にあるためです。

例えば、借主が家賃を滞納した場合、民法改正前であれば延滞利息を5%に設定できましたが、民法改正後は延滞利息を3%に設定しなければなりません。

「敷金」と「原状回復」に関することが明文化
3つめの変更点として、賃貸借に関するルールが明文化されたことです。具体的には、「敷金」に関することと「原状回復」に関することとなります。

敷金に関しては、賃貸借が終了したとき、貸主は敷金から賃料未払い分などの債務を差し引いた上で残額を借主に返さなければならないことが明記されています。

また、原状回復に関しては、経年劣化によるものや、家具を置いたことによるカーペットや畳のへこみなど、通常の使用によって生じた劣化に関しては、原状回復は必要ない旨が記載されています。

敷金と原状回復に関しては、今までの慣例をルール化したものですが、敷金や原状回復に関するトラブルが多いことから、民法改正で条文化されました。

なお、原状回復に関しては、「賃借人が原状回復を負う」という特約を設けることが可能となっており、そのような特約を結んでいる場合は、賃借人が原状回復を行わなければなりません。

保証契約において「極度額の設定」が必要に
4つめの変更点として、「極度額の設定」があります。民法改正後は、極度額を設定しないと保証契約が無効になってしまいます。

極度額とは、保証人が責任を負う上限額のことです。極度額は、借主が家賃を払えなくなった場合などにおいて、保証人が借主の債務を弁済するなど、ある一定の範囲内の債務を保証する「根保証契約」を結んだ場合に設定されるものです。

賃貸契約において保証契約を結んだ場合、保証額の上限が設定されていなければ、保証人が負うべき保証額が高額となる場合があり、保証人の生活が困難になってしまうことも考えられます。

そのような事態を防ぐために、保証契約を結ぶ場合には極度額が設定されることになりました。

2020年に改正民法が施行されることによって、不動産仲介におけるルールが変更されることになりますが、これらのルール変更は現状に即した内容に基づいて変更されるものです。

ルールに基づいた不動産仲介を行い、不動産仲介に関するトラブルを防いでいきましょう。

(画像は写真ACより)

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