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住宅を診断する「ホームインスペクション」現在の運営状況は?

ホームインスペクションは、日本では利用が少ない状況
「ホームインスペクション」とは「住宅診断」を意味しますが、欧米では広く利用されているものの、日本においてはホームインスペクションの利用が少ないのが現状です。

それでは、日本においてはホームインスペクションがどの程度利用されているのでしょうか。ホームインスペクションの稼働率と現在の運営状況について調べていくことにしましょう。

ホームインスペクションとは?
ホームインスペクションとは、住宅診断のプロである「住宅診断士(ホームインスペクター)」によって実施される「住宅診断」のことです。

ホームインスペクションでは、目視によって住宅内の各所を点検する「目視調査」のほか、専用の機材を利用して住宅を点検する「機材調査」が行われます。

目視調査では、住宅の外回りや室内のほかにも、天井裏や床下など、あらゆる箇所を点検し、壁や柱、床材など、各種建築部材の劣化状況を確認します。

目視調査を行うことにより、大部分の劣化状況を判断することができますが、建物の傾き調査や水回りの水漏れの調査など、目視調査だけで判断することが難しい調査もあります。

それらの調査を行う場合には、専用の機材を活用してより詳しい点検を行い、ホームインスペクションの精度を高めていきます。

売主が住宅を売却する前や、買主が住宅を購入する前は、住宅の劣化状況が気になるところですが、住宅の状況を住宅診断士が客観的な視点で点検することによって、売主や買主は、売買の判断をつけやすくなるのです。

日本のホームインスペクションの稼働率は低水準
欧米では、新築住宅よりも中古住宅の流通が多くを占めることもあり、ホームインスペクションの稼働率は高水準の状況です。

日本ホームインスペクターズ協会のサイトによると、アメリカ・カリフォルニア州におけるホームインスペクションの普及率は、2003年の時点で80%を超えています。

参考:日本ホームインスペクターズ協会
https://www.jshi.org/what/

このことから、アメリカではホームインスペクションの利用が一般的であると言えるでしょう。

一方、日本においては新築住宅の需要が高いこともあり、ホームインスペクションの利用はわずかにとどまっているのが現状です。

国土交通省は、「既存住宅市場の活性化と瑕疵担保保険制度」という資料をウェブ上に公開していますが、それによると、既存住宅の流通量のうち、建物状況調査(インスペクション)を受けて既存住宅の売買瑕疵保険に加入した住宅の割合は、2014年の時点でわずか5%となっています。

政府は、上記の数値を2025年までに20%にまで引き上げる方針を掲げていますが、この数値は、欧米と比較すればまだまだ低い状況と言えるでしょう。

参考:国土交通省 既存住宅市場の活性化と瑕疵担保保険制度
http://www.mlit.go.jp/common/001126914.pdf 

重要事項説明書に、インスペクションの説明が義務化
日本では、ホームインスペクションの利用が低い状況となっていますが、その背景としては、先述した通り新築住宅の需要が高く、中古住宅の需要が低いことがあげられます。

このことは、見方を変えれば、ホームインスペクションの利用が増え、住宅の状況が一目で分かるようになれば、中古住宅の需要が増加するきっかけにもなり得ます。

中古住宅の売買を活性化させることを目的として、2018年4月1日からは、不動産の重要事項説明書に「インスペクション」の説明を行うことが義務づけられました。

説明の具体的な内容としては以下の通りです。
・媒介契約締結時、ホームインスペクション業者のあっせんについての可否を明示
・ホームインスペクションの実施の有無を記載
・売買契約時、売主と借主の双方が、建物の状況を確認したことを記載

ただし、インスペクションの実施については義務化されていない状況です。そのため、インスペクションの実施については任意となります。

日本では、インスペクションの実施率は低い状況と言えますが、人口減少の局面においては空き家の増加も問題視されていることから、その問題を解決するためにも、中古住宅の流通量を増加させることは急務と言えるでしょう。

中古住宅の流通増を実現させるためにも、インスペクションの実施を推進していくことが求められるのではないでしょうか。

(画像は写真ACより)

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