クラスコの資産運用

収益物件

【pickupニュース】20年9月の都心5区ビル募集賃料、5カ月連続の低下に

日々のニュースの中で不動産投資や賃貸経営、資産運用など暮らしに関わるニュースをピックアップしてます。
今回ピックアップするニュースはこちら!

三幸エステートが最新のオフィスマーケットデータを公開
三幸エステート株式会社は12日、2020年9月度のオフィス市況データをまとめ、公開を開始しました。東京都心5区のほか、札幌市、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市の賃料や空室率など、最新動向をみることができます。

東京都心5区は、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区を指し、これら地域におけるオフィス市場の最新データを分析したレポートとなっています。統計開始は1994年1月1日で、調査における用語は、下記のように定義されています。

・調査用語定義
大規模ビル:1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル
現空面積:現在テナント未入居で契約後すぐに入居可能な物件面積の合計
募集面積:各統計日時点で公開されているテナント募集面積の合計

・主要経済指標
【実質GDP成長率】
2019年度(実績):0.0%
2020年度(予測):-5.8%
2021年度(予測):3.6%

【失業率】
2019年度(実績):2.3%
2020年度(予測):3.5%
2021年度(予測):3.7%

オフィス市況に影響を与える主要な経済指標をみると、実質GDP成長率は、2020年4~6月期の内閣府による2次速報を受け、ニッセイ基礎研究所の調査で、2020年度は-5.8%と予想されました。2019年度の0.0%から大幅に落ち込んでいます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、4~6月期がリーマン・ショック時を上回る大幅なマイナス成長となり、7~9月期以降がプラス成長に転じるものの、回復ペースは鈍いとされました。2021年度には3.6%のプラス成長予測ですが、今後の動向になお注意が必要となっています。

失業率については、2020年8月の完全失業率が前月より0.1ポイントさらに悪化し、3.0%となりました。有効求人倍率が前月より悪化、その先行指標である新規求人倍率は前月より上昇となっています。

2019年度は2.3%と低い水準にあった失業率ですが、非正規雇用を中心に雇用調整の動きが本格化しており、失業率の上昇が今後続いていくと予想されています。そのため、2020年度で3.5%、2021年度は3.7%との予測になりました。オフィスニーズへの影響も懸念されます。

・都心5区大規模ビルの空室動向
空室率:0.76%(前月比+0.10ポイント)
現空面積:50,312坪(前月比+9,160坪)

2020年9月度における東京都心5区大規模ビルの空室率は0.76%となり、前月より0.10ポイント上昇しました。なお低水準を維持していますが、2カ月連続の上昇で、じわりと伸びてきています。

現空面積も前月より9,160坪増加し、2019年7月以来の5万坪台となりました。市場では新型コロナウイルスの影響によるオフィス解約の動きが活発となっていますが、その多くがまだテナント退去前であり、この現空面積にはまだ反映されていません。

空室率の上昇ペースが緩やかである要因とも考えられ、影響が表面化した今後に注意が必要となっています。

オフィスニーズ鈍化、港区は潜在空室率も高め
・都心5区大規模ビルの募集動向
募集賃料:月額坪あたり31,243円(前月比-346円)
募集面積:417,271坪(前月比+40,742坪)

2020年9月末時点における東京都心5区大規模ビルの募集賃料は、共益費込みで月額坪あたり31,243円となり、前月より346円低下しました。一時32,000円を突破していた賃料ですが、5カ月連続の下落で31,000円台の前半になっています。緩やかな上昇傾向を維持していた市況の変化に対する認識も定着してきたとされました。

新規募集物件だけでなく、募集中物件でも募集条件を見直す動きが目立ってきており、オフィスニーズの鈍化が顕著となっています。新型コロナウイルス感染症の広がりをきっかけとして、オフィス戦略の見直しを図るテナントが増えてきていることが原因です。

景気後退に加え、リモートワークの活用によるオフィスの選択に対する考え方の変化から、見直しに踏み切る事業者が多くなっていると考えられました。テナント誘致には一段と時間がかかる状況になっており、募集面積も40万坪を超え、前月より40,742坪増加の417,271坪となっています。

・区別潜在空室率
千代田区:2.99%
中央区:3.71%
港区:5.85%
新宿区:3.82%
渋谷区:4.67%

区別にみた潜在空室率は港区が最も高く、5.85%となっていました。リモートワークの対応が進んでいるIT・通信系企業が集積しているほか、新築ビルへの移転解約が多くみられたことが原因とされています。

2020年3月までは、ほぼ同様の推移できた各区ですが、4月頃に動向が分かれ、港区はいち早く4~5月付近で大幅に上昇しました。これに続くのが渋谷区の4.67%で、同区にはIT系企業のほか、意思決定が速いベンチャー企業が多く集まっているため、新型コロナウイルスの影響に対しても、対応する動きが素早く、潜在空室率を押し上げるところとなったとみられます。

対照的な動きとなったのが千代田区で、現時点でも潜在空室率は2.99%にとどまっています。同区はプライムビルが集積し、解約時期が限られる定期借家契約の割合が高いため、緩やかな上昇ペースになっていると考えられました。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像は三幸エステート「オフィスマーケットレポート 東京都心5区大規模ビル 2020年10月号」公開資料より)


▼外部リンク

三幸エステート株式会社 「オフィスマーケットデータ」東京都心5区
https://www.sanko-e.co.jp/data/tokyo/

PAGE TOP