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【pickupニュース】東京グレードAオフィス賃料、年後半には弱含みか

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CBREが2021年までの市況見通しをまとめた特別レポートを発表
世界最大の事業用不動産サービスおよび投資顧問会社として、グローバルに幅広く事業展開を行うCBREグループの日本法人、シービーアールイー株式会社(CBRE日本)は21日、特別レポート「不動産マーケットアウトルック2020」の公開を開始しました。

オフィス、リテール、物流施設、不動産投資の各市場について、2019年を振り返るとともに、2021年までの今後の見通しを示したもので、不動産市場の動向を考える有用な資料になっています。

・オフィス市場
2019年末空室率1%未満の見込都市:13都市中8都市
賃料:東京を除く全都市で上昇、7都市で上昇率加速
タイトな需給環境を背景にさらなる賃料上昇を予測

2019年のオフィス市場は、東京を含むほぼ全都市で空室率がさらなる低下をみせ、1%未満というきわめて低い水準が見込まれるものとなった都市も札幌、さいたま、東京、横浜、名古屋、大阪、京都、福岡の8都市にのぼり、過去最多を記録しました。

需給の引き締まった市況から、賃料上昇の傾向も強まり、すでに高騰が進んだ東京を除く全都市で上昇、とくに仙台、横浜、金沢、京都、大阪、神戸、広島の7都市では、年間の賃料上昇率が2018年を上回り、加速する見通しになっています。

人材確保などの観点からオフィス環境の改善投資に積極的な企業が多いことや、老朽化ビルの建て替えに伴う立ち退き移転や、不動産価格の高騰を受けて自社ビルを売却、賃貸ビルへ移転する事例が増加したこと、コワーキングスペースの新規開設など新たな動きが生じたこと、さらに地方都市では新規供給がきわめて限定的であったことなどがタイトな需給環境を支える要素になっており、これらの傾向は現在もおよそ続いています。

世界的なインフレ率の抑制で低金利環境も当面続くと考えられ、さらに米中貿易摩擦や英国のEU離脱に伴う混乱懸念など、市場の懸念材料もやや和らいできたため、国内企業マインドの回復とともに、オフィス市場ではプラス要因が多くなり、需給の引き締まった状態が維持されるとみられました。

・リテール市場(銀座ハイストリート)
2019年Q3賃料:月額坪あたり25.8万円
インバウンド需要の取り込み成功業種などで旺盛な出店ニーズ
注目はポップアップストア

銀座エリアの中でもとくに繁華性の高い通りとしてCBREが設定した「銀座ハイストリート」を対象として、リテール市場の動向をみると、2019年は2018年に続き、インバウンド需要の取り込みに成功した業種などを中心とした旺盛な出店ニーズが賃貸市場の好調さを支えました。

2017年の第3四半期に底入れした賃料推移は、2019年第3四半期で1.6%上昇となる、月額坪あたり25.8万円にまでアップしています。リテール市場では、ECの拡大が影響し、リアル店舗の役割が商品の販売からショールーム機能重視に移行するケースも目立ってきました。こうした傾向から、出店期間を限定したポップアップストアの形態が、幅広い業態のリテーラーから注目されるようになっています。

人気の高いブランドや話題性の高いブランドのポップアップストアを誘致できれば、不動産のバリューアップにつながり、オーナーにも大いにメリットとなることから、新しい路面店舗スペースの賃貸しスタイルとして浸透していく可能性があり、これらの動きによる出店ニーズの広がりが期待されます。

いったん弱含みを経験する市場がみられるも再び回復の予想
・物流施設市場
2019年LMT新規需要の三大都市圏合計:約100万坪
EC拡大や自動化設備・ロボット技術の導入、配送中継拠点開設など業界改革がLMTニーズに直結
三大都市圏でタイトな需給バランスが続く

物流施設の市場は、2019年の大型マルチテナント型物流施設(LMT)でみたところ、三大都市圏の新規需要合計が合計で100万坪に届く勢いとなっており、2018年比で約40%の増加となるほか、過去最高を記録する見通しとなりました。

一般生活者におけるECの拡大で需要が増していることはもちろん、自動化設備やロボット技術の導入といったスペックの充実化、トラックドライバー不足を補う配送中継拠点の開設など、変化する社会状況に対応した物流業界の改革がLMTへの強いニーズにつながっています。

こうした傾向から首都圏、近畿圏、中部圏のいずれにおいても物流施設への需要は高く、賃料も高水準で、需給の引き締まった市況が当面継続される予想となりました。

・不動産投資市場
2019年不動産投資額Q1~Q3:累計2.4兆円(前年同期比+6.5%)
2019年通年総投資額見込:前年比+7%程度
物件不足で大型物件やポートフォリオ案件を中心に資金が集まる
商業施設、ホテル、物流施設が増加を牽引
不動産へのアロケーションを増やす機関投資家資金:前年同期比+62%
機関投資家を中心に高い意欲、資金流入は活発
ただし選別的投資家が増加か

2019年における10億円以上の取引を対象とした不動産投資額は、第1四半期から第3四半期までの累計で2.4兆円になり、前年同期より6.5%増加しました。件数では前年を下回ったものの、大型取引が増えたことで総額はアップしています。これにより2019年通年の総投資額も、前年比で7%程度の増加となる見通しとなりました。

市況としては、物件の品薄感が強く、大型物件やポートフォリオ案件に資金が集まりやすくなっています。アセットタイプでは商業施設、ホテル、物流施設が増加の牽引役となっており、投資主体別では不動産へのアロケーションを増やしつつある機関投資家の資金が増加、前年同期比で62%ものアップを記録したとされています。

今後も機関投資家の高い投資意欲は維持され、不動産投資へのまとまった資金流入が見込まれますが、大型案件中心となるほか、市場サイクルも終盤にさしかかっているとの見方が強まり、より選別的な投資家が増えると予想されました。

・今後の予測
【オフィス】
東京グレードA賃料:2020年後半弱含み、2021年に持ち直し
 2年後賃料:2019年末比-0.5%

【リテール(銀座ハイストリート)】
路面店舗賃料:2年間で+1.4%

【物流施設】
首都圏LMT賃料:2019年Q4で坪あたり4250円(前年同期比+2.4%)、2021年Q4までにさらに+2.1%
近畿圏:2021年過去最高規模の新規供給、2年間空室率は8%以内
中部圏:空室率は一時上昇も2021年末で4%程度

【不動産投資】
2020年投資額:2019年比+2%程度
東京プライムアセット利回りが最低値更新または維持
東京ベイエリアLMT利回りがさらなる低下予想に

今後の各市場における予測としては、まずオフィス市場で東京グレードAオフィスの賃料について、2020年には半ばころから経済のスローダウンと供給増から上値が重くなり、天井感が強く広がりはじめて後半に弱含みとなる予想とされました。しかし下降傾向が続くことはなく、2021年には持ち直して、向こう2年後の賃料は2019年末比で0.5%と、微減にとどまる見通しになっています。

リテール市場は、やはり銀座ハイストリートの路面店舗賃料として、東京オフィスと同様、2020年の一時的な弱含みが見込まれていますが、2年後の賃料水準では1.4%の上昇予測となりました。

物流施設の活況は他市場より顕著に続くようです。首都圏LMTの実質賃料は、2019年第4四半期で前年同期を2.4%上回る、月額坪あたり4,250円になり、2021年第4四半期までには、さらに2.1%上昇すると見込まれました。2%前後で推移する記録的に低い空室率がさらに低下するとは考えにくいことや、2021年に過去最高規模の新規供給が予定されていることなどから、上昇ペースは緩やかになるものの、勢いのある動向に変わりはありません。

近畿圏でも2021年に、2017年と並ぶ過去最高規模の新規供給があるとみられますが、新興エリアの順調なテナント決定状況や湾岸部におけるニーズの回復など、取り巻く状況から大幅な空室率悪化とはならず、向こう2年間で8%以内に収まるとみられました。

中部圏については、2021年までの開発計画が2棟で、LMTとしては新興立地ながら、物件選択肢は限られ堅調なニーズによる消化吸収が見込まれるため、空室率は一時的な上昇を経験しつつも、2021年末で4%程度に抑えられるとみられています。

不動産投資の市場としては、2020年の投資額が2019年比で2%程度の増加にとどまると予測されました。やや慎重な姿勢が強まるものの、大型案件が総額の伸びを牽引するとみられます。東京プライムアセットの利回りは、調査開始以来の最低値を更新または維持する低水準となる予想で、とくに東京ベイエリアの大型マルチテナント型物流施設に関しては、利回りが2020年にかけてさらに低下するとみられ、動向が注視されています。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像はPixabayより)


▼外部リンク

シービーアールイー株式会社 プレスリリース
https://www.cbre.co.jp/

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