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【pickupニュース】建設のマイナスなどで景気DIが5カ月連続悪化、不動産はプラス

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帝国データバンクが最新の景気動向調査結果を公開
株式会社帝国データバンクは9日、2019年4月の「TDB景気動向調査」結果を公開しました。企業の景気判断を総合した指標調査として行われているもので、2002年5月に開始されました。今回の調査期間は2019年4月15日~4月30日、対象となった企業は23,174社で、うち9,775社から有効回答が得られています。

DI(Diffusion Index)は、企業による「非常に良い」から「非常に悪い」まで、下された7段階の判断に応じた点数を0~6ポイントで付与し、各選択区分の回答数に乗じて算出されており、景気DIは0~100の間、50を判断の境目として、それより上ならば「良い」、下ならば「悪い」とみなされます。

なお景気予測DIについては、ARIMAモデルに経済統計や調査結果データの「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたモデルで分析・算出されています。

・全体の景気DI動向
4月の全国景気DI:46.8(前月比-0.1ポイント)
後退局面入りの兆し
不透明感を増す市場動向に

2019年4月における景気DIは46.8となり、前月より0.1ポイント低下して50を下回ったほか、5カ月連続の悪化傾向となっています。最大10日となる超大型連休で人手確保に伴う人件費や物流費の増加が全体的にマイナス要因として働いたほか、「建設」が新年度を迎えて工事の発注件数減に、大型連休や統一地方選挙などで工事進捗も停滞し、さらに原油高などでの燃料価格上昇からくるコスト負担増と負の要素が重なり、全体を下押しする結果になりました。

一方で連休を控えた前倒し発注による出荷増や、旅行・外食など個人消費関連の領域では需要拡大がプラスに働いたほか、新元号の発表を受けた特需発生で恩恵を受けたケースもみられています。しかし全体としては、コスト増や工事関連の停滞が続いていることから、国内景気が後退局面に入りつつある兆しをみせていると指摘されました。

今後の動向については、個人消費で緩やかな回復が続くものの、消費税増税の一時的な落ち込み、人件費などのコスト増がマイナス要因になる見通しです。中国の経済対策効果が注目される中、米国では減税効果の剥落による景気減速が危惧され、さらに日米通商交渉や米中貿易摩擦の動向からも目が離せない状況となっており、全体的に輸出の鈍化と先行き不透明感が強まると考えられました。

・不動産関連領域のDI動向
建設:52.8(前月比-0.8ポイント、前年同月比+1.4ポイント)
不動産:48.7(前月比+1.3ポイント、前年同月比-2.2ポイント)

全体では10業種中6業界が悪化、4業界が改善という結果でしたが、不動産関連では「建設」が前月より0.8ポイント悪化して52.8、「不動産」は1.3ポイント改善し、48.7となっています。

「建設」は前年同月に比べるとプラスで50を上回った値でもありますが、人件費や建材価格の高値推移による収益減少、職人不足が深刻となっています。景気に先行き不透明感が出てきたことで、設備投資意欲が後退傾向にある点もマイナス要因となったようです。しかし依然52.8という値は、10業界中トップであり、10カ月連続の首位でもありました。

「不動産」は2018年10月から50をわずかに下回る値が続いていますが、今年に入ってさらに低下した値がやや改善、なお50には届きませんが、復調の兆しもみられています。

五輪開催と消費税率引き上げの影響に注視
・地域別ポイント
東海:48.0(前月比-0.4ポイント)
九州:48.3(前月比-0.3ポイント)
北海道:45.5(前月比+0.9ポイント)

地域別では10地域中5地域が悪化、4地域が改善で、北陸は横ばいという状況でした。不動産関連の観点を中心にみた特筆点として、「東海」で公共工事の発注額減少や個人向け注文住宅の低調さなどから「建設」と「不動産」の悪化が目立っています。同地域はそうした影響もあり、前月比0.4ポイント低下の48.0でした。

「九州」は公共工事の大幅減少で、全体も2カ月ぶりにマイナスへ転じています。震災復興による熊本での急増ニーズ収束に伴った落ち込みも顕著でした。

一方「北海道」は3カ月連続で改善となっています。公共工事や住宅着工が好調で「建設」が大幅に改善、さらに作業員向けの賃貸住宅ニーズの強さから「不動産」の景況感も好調でした。不動産景況感は全国10地域で最高を記録しています。

・建設の景況感
【現在】
学校空調入札で設備関連が忙しい(給排水・衛生設備工事)
増税前の駆け込み受注で受注残が増加(木造建築工事)
昭和期建設の生産設備更新で増(一般電気工事)
選挙による公共工事発注の遅れ、民間設備投資も少ない(内装工事)
資材高騰の中、請負代金は据え置き状態(土木工事)
建設業界での投資意欲改善がみられない(一般電気工事)

【先行き】
1年後までは建築バブル継続の見込み(一般土木建築工事)
1年後以降の物件受注がすでにある(一般管工事)
五輪までは好景気(電気通信工事)
マンション大規模修繕など大がかりな案件が消費税率引き上げ前に増加(建築工事)
土地高騰で用地仕入れが困難(給排水・衛生設備工事)
消費税率引き上げ後の住宅供給調整を懸念(タイル工事)
宅地造成・開発箇所の減少で受注工事減の見込み(土木工事)

建設業界からの景況に関する声としては、現在について、増税前の駆け込み受注増や昭和期の建築における生産設備更新で工事が増加しているため良好といったものがみられた一方、選挙による公共工事発注の遅れで一時的に停滞しているという声や、資材高騰の中、請負代金は据え置かれているためマイナスといった声、職人の人材不足に苦しむ声などが寄せられました。

先行きに関しては、1年後までは建築バブルが継続する、1年後以降の物件受注もすでに始まった、東京五輪までは好景気が続く見通しといった明るさを報告する向きがあります。また消費税率引き上げのタイミングを意識し、マンションの大規模修繕やエレベーター更新など大がかりな工事の受注、注文書だけでもと頼まれるケースが増えているといった駆け込み需要に関する報告もありました。

一方で、進行する不動産、土地の高騰によりマンション用地の仕入れが困難になってきており、その影響を受けて工事も減少しているため先行きが不透明といった声や、消費税率引き上げ後の住宅供給調整を懸念する声、開発箇所の減少による受注工事減をマイナスとして見込んでいる向きもあります。

・不動産の景況感
【現在】
新規進出工場の建設にかかる作業員の一時転入増で賃貸仲介件数が増加(不動産管理)
住宅ローンが積極的で価格が上昇(不動産賃貸)
都市部は価格高止まりで物件流通が停滞(建物売買)
戸建分譲地の動きが遅い(土地売買)

【先行き】
五輪に向け訪日外国人増がプラス材料(貸事務所)
2022年生産緑地解除前の売地増加、土地活用増加を見込む(不動産代理・仲介)
住宅実需は消費税率引き上げの影響を受ける(土地売買)
日銀追加緩和などの継続がみられないと消費税率アップで景気悪化の可能性が高い(建物売買)

不動産業界からは、現在の景況感として、建設作業員の一時転入増加により賃貸仲介の件数が増加して好調という声や、不動産投資での融資は厳しくなってきているものの、住宅ローンはなお積極的なため価格が上昇してプラスに働いているとする声がありました。一方で、不動産価格の高騰が進む都市部では、物件が流通しにくくなっていることや、戸建分譲地の動きが鈍くなっているといったことから、景況を悪いと判断する向きもあります。

先行きについては、東京五輪開催に向け訪日外国人の増加がプラス要因となるため明るいとする声、2022年の生産緑地解除を前にした市場への売地供給や土地活用案件の増加が見込めるといったプラスの声がみられます。しかし消費税率引き上げに関連し、住宅の実需が影響を受けると懸念する声や、緩和策が不十分では景気悪化となる見通しが強いとみる向きも強くなっていました。

全体を通し、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催というビッグイベントと、2019年10月に迫った消費税率引き上げ予定でもたらされる変化が強く意識される結果になっています。これらを受けた市場動向や景況がどうなるか、引き続き注視が必要でしょう。

ピックアップニュースは以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も皆様のお役に立つ内容をお届けしてまいりますのでご期待ください!

(画像は帝国データバンク「TDB景気動向調査 2019年4月」公開資料より)


▼外部リンク

株式会社帝国データバンク 「TDB景気動向調査 2019年4月分」プレスリリース
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/k190501.html

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