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どこが違う?内法面積と壁芯面積

2つの面積?マンション購入で失敗しないための基礎知識
不動産の購入は、マイホームにしても投資物件にしても、多くの人が一生のうちに経験する回数として、ごく限られたものとなるであろう非常に大きな買い物になります。だからこそ十分に比較検討を重ね、失敗のないよう慎重な判断を下さねばなりません。

しかし不動産関連の領域では、専門的な用語も多く、なかなか正しく理解していくことが困難なケースがしばしばです。そうした中で何となくこうだろうといったイメージ先行のまま、“分かったつもり”になっていると、そこから誤解やトラブルが生じ、後悔を残すことになりかねません。

ですから間違いやすいポイントについては、あらかじめ学習し、理解を深めておくことが大切ですね。今回はそうした観点から、とくに分譲マンション購入で気をつけたい「内法面積」と「壁芯面積」の違いや意味について解説します。

実際の面積が広告表記より狭い??
物件をチェックしていく際、その専有面積がどれほどかということは、非常に気になる重要なポイントでしょう。しかしこの面積の算出・記載方法には、主に2つのものがあり、どちらを採るかで数値に違いが生じるため、自分が見ている面積値はどちらのものなのか、それぞれどのような面積のことで、どういった使われ方をしているのか、正しく理解しておかねばなりません。

このポイントで間違いを起こすと、考えていたより狭かった、公的補助やローンの想定に違いが出たといった問題を生じる可能性があります。十分に注意してみていきましょう。

ここでいう2つの面積が、「内法面積(うちのりめんせき)」と「壁芯面積(へきしんめんせき/かべしんめんせき)」です。先に後者の「壁芯面積」についてご紹介します。壁芯面積とは、建築物における内壁や柱の厚みを考慮し、その厚さの中心線で囲われた部分を計算した面積になります。

壁や柱の一部を含んでおり、区分マンションの場合、このかたちで算出した面積を広告やパンフレットに、各住戸の専有面積として掲載するケースが大半となっています。

これに対し、内法面積とは壁や柱、天井の仕上げといった外部に面するものの内側のみで測定する面積です。実際に居住するスペースはこちらの面積になり、いわば住んで使える有効面積の値となります。ここから分かる通り、壁芯面積と内法面積では、内法面積の方が狭いことになります。

なぜ2種類?どう使い分ける?
では、なぜ内法面積と壁芯面積の2種類があるのでしょうか。内法面積だけで良さそうなのに、壁芯面積で宣伝掲載されることが多いのは納得できないと思われる方もあるかもしれません。

これについてお答えすると、実は壁芯面積は、建築設計業務の段階でとくに重要となるもので、広告やパンフレットは設計図面から作成されることが多いからなのです。設計の場合、まず建物の構造的強度を考える必要があり、通常、そこから住みやすさやデザインを考慮して壁や柱の調整を行っていきます。

プラン完成後、建築確認などもこの壁芯面積を用い、建築物全体の面積や各階面積を示すものとしています。そのため、不動産広告などで面積値が1つしか記載されていない場合、壁芯面積であることが一般的です。

一方、分譲マンションで実際に区分所有し、住まい空間として使っていくことになるのは内法面積のスペースでした。よって不動産の権利関係を問うシーンでは、壁の内側であるこの内法面積が用いられます。具体的には、登記簿に記載される登記面積がほぼ内法面積となります。

ここで「ほぼ」としたのは、登記面積の場合、不動産登記法で「壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により、(文中略)一平方メートルの百分の一未満の端数は切り捨てる」とされ、室内にある柱の出っ張り部分が考慮されないなど、厳密に内法面積とイコールだとは言い切れないからです。基本的には、およそ同じと理解してかまいませんし、内法面積から求めることには違いありません。

なお一戸建て住宅の場合は、建物の床面積を「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」とすることが同法で定められているため、壁芯面積が登記面積になります。

差はどれくらい?影響とともにチェック!
こうした違いがあり、それぞれ別の用途で用いられる内法面積と壁芯面積ですが、比較するとどれほどの差があるものなのでしょうか。とくに壁芯面積のみの情報を前に比較検討している段階など、気になりますよね。

建築物によりそれぞれ形状や構造が異なりますから、一概に断定はできませんが、5%程度を見込んでおけば良いとされています。ブレがあってもおよそ5~8%には収まるでしょう。

内法面積と壁芯面積でとくに注意したいのは、住宅ローン控除や不動産取得税などの軽減・優遇措置を受けようとしている場合です。対象となるには、自己居住用であることのほか、床面積にかかる条件を満たしている必要があり、この床面積が住宅ローン控除では、登記面積を指すものとなっています。

数値として50平米以上と規定されていますから、仮に広告掲載の面積が50.62平米など、これをわずかに上回る程度の値だった場合、それは壁芯面積で、内法面積から求められる登記面積を確認すると、50平米未満だったということがあり得るのです。こうなると見込んでいた税制優遇措置が受けられなくなってしまいますから、注意しなければなりません。

登記面積については、法務局で入手可能な登記事項証明書で確認できますから、これを直接確認するか、業者にこの証明書のコピー提示を求めるなどしてチェックすることをお勧めします。

いかがでしたか。内法面積と壁芯面積の違いは、分譲マンション購入を検討する際に、しっかり持っておきたい基礎知識となります。ぜひこの機会に覚えておいてください。また実際に購入への検討を進める際は、疑問点を残さないことが重要です。分からないこと、気にかかることがあれば、小さなことでも専門家に尋ね、きちんと確認するようにしましょう。

(画像は写真素材 足成より)

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