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【日本一わかりやすい不動産投資】第5回、キャッシュフローツリー

今回は、物件の本当の力を導き出すための、「キャッシュフローツリー」についてご説明いたします。

 

【 キャッシュフローツリーとは 】

キャッシュフローツリーとは、年間の家賃収入から管理費、ローン返済額などの支出を引き、手元に残るお金を算出するための一連の計算を表します。

下の図で実際のツリーを紹介しています。ひとつずつ指標を解説しながら、算出してみましょう。

GPI(潜在総収入・満室想定賃料)とは、キャッシュフローツリーの大元になる、収入の指標です。

その物件が満室であることを想定した場合の家賃の総額がこれにあたります。

下①の図で表しているのは現状の家賃で収入を計算した場合です。

確かに、現在はこの金額が収入として得られているかもしれませんが、退去があれば現状の家賃では貸せなくなり、家賃を下げなければならないこともあります。

このため、GPIを算出する際は、現在の入居者が全て退去したことを想定し、家賃を設定しなおした上で②の図のように満室想定賃料を算出していきます。

収入が明らかになったので、ここから支出をマイナスしていきます。まずは空室滞納損失です。

例えば、現状10部屋あるうちの2部屋が空室だった場合、単純計算では空室率20%といえます。

これを時点空室率と言いますが、年間を通して見た際には正しい数字とは言えません。

より精度を上げるため、稼働月数と空室月数から稼働空室率を導き出します。

10部屋のうち2部屋が3ヶ月間空室だった場合は、10部屋×12ヶ月=120ヶ月で、稼働しなかった2部屋×2ヶ月=6ヶ月を割ることで、年間空室率5%と計算されます。

滞納リスクに関しては不動産会社によって補償される場合もありますが、心配な場合は加味した方がよいでしょう。

GPIから空室滞納損失を引くことで、EGI(実効総収入)が明らかになりました。ここから更に、OPEx(運営費)を引いていきます。

運営費は、物件の種別によって大きく異なります。

例えば木造アパートと鉄筋コンクリートのマンションでは定期点検費用に差が生じますし、同じ鉄筋コンクリートのマンションでもエレベーターの有無でまた費用が異なってきます。

物件によってどのようなお金がかかるのか、事前に確認し計算しましょう。 こうして算出されたのが、NOI(純営業収益)です。

これが実際の手取りの家賃収入といえます。現状家賃と販売価格で割り出した表面利回りだけでは正しい物件価値は判断できませんので、このNOIによる比較が最も重要なポイントとなります。

ここからローン返済額が引かれることでキャッシュフローが判明します。ここでローン返済額がNOIよりも大きくなると利益がない物件ということになります。

 

【 表面利回りよりネット利回りを 】

例えば販売価格1,000万円のワンルームマンションで、家賃年収80万円なら表面利回りは8%になります。

これをキャッシュフローツリーで計算すると、GPI80万円から空室損を5%、滞納損を5%と仮定しマイナスするとEGIは72万円、さらにOpexを25%と仮定すると、20万円マイナスになりNOIは52万円になります。

表面利回り8%と思い購入したものが、ネット利回りは5.2%と大きな違いが出ていることがわかります。

不動産広告では表面利回りが記載されていることが多く、どの物件も魅力的に思えますが、実際の収益をしっかり判断して購入検討する必要があります。

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